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はるかの部屋  〜 新着順表示 〜


[102] ポンパドール
詩人:はるか [投票][編集]





いち、に、さん
片足でジャンプ

揺れてはねる前髪を
空気といっしょに
まきあげた



悲しいことは
悪いことじゃないから
うつむかなくて
いいんだよ


心は上へ
上昇気流の風を
よもう


加速つけて

スタートライン
引きなおしたら



もう
涙なんて
必要ないくらい


あげて、あげて
まきこんで



人も未来も
きっとこの手でって
いうくらい


たかく、たかく
息を吸って








2008/02/03 (Sun)

[101] ゆびさき
詩人:はるか [投票][編集]




ふる ふる 冬の

いたずらに、雨

肩におちて

音がしずかに胸にふる


昨夜みた夢は

つめたい水の底

うすい膜

いちまい隔てて

とおい向こう岸


窓の雨つぶを

小さく丸でかこむと

ゆびさきが泣いた


はら はら 涙は

行きさきも知らずに

落ちていく






2008/01/24 (Thu)

[100] 花散る
詩人:はるか [投票][編集]





静かな音楽に促され


焼香の匂いの染み付いた部屋を出る


出口には生前のスナップ写真が


家族という微笑みの輪の中で


刻んできた歳月と共に飾られていた




亡き人の暮らしぶりは


話でしか知らないが


人の生き様というものは


終わった後で見えてくるのかもしれないと


悼む声を聞きながら黙偲する




佳き日、悪しき日


平坦な道ばかり歩める訳もなく


身心を砕きつつ


それでも生きる




送る者、送られる者


今少しの思いはどちらが勝るとも言えず


心残りはなかったかと


ただ安ずるばかりだ




孝行したい時に親はなし


近頃、気弱な台詞の多くなった母が


被って見えた






2007/12/28 (Fri)

[99] わたぼこり
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うっすらと積もった
タンスの上の綿ぼこり
一年ぶりのお目見えに
ゆるんだ気持ちが
かさなった



あんなに仲良かったのに
なかなか会えなくなった友達とか
一生懸命えらんだのに
しまったまま
どこかに失くしたプレゼントとか



置いてきて
そのままにした心たちが
一斉に飛びこんできて
瞬きと一緒にかけ巡る



どれだけの思いが
繰り返されただろう
少しずつ蓋をするように
見ないふりした


忘れた訳じゃ
ないのにね
気付けば胸に綿ぼこり



優しさが欲しくって
泣けた日
踏みにじって
もみくちゃにした昨日



気付いた今なら
失くし物、見つかるかもしれない


綿ぼこりの下の
大事な宝箱







2007/12/26 (Wed)

[98] うす紅色に
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一つまた
風が変わってゆく


わずかな日だまりに
心を宿し
涙の張力がほどけて
泡になる



春だからと
言わないで下さい



どんな季節に
出会っても
私はあなたに
恋をした






2007/12/23 (Sun)

[97] 白い朝
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朝起きて
すとーぶを焚く

息が もう
ずいぶん白い

六人掛けのてーぶるに
静かな湯気が立ち込める



寝ぼけ眼の子雀の
覚束ない足どり

まな板のトントン拍子に合わせて
目をぱしぱしする



もう一羽、さらに一羽
息が増えていく


白いぬくもりが
目を覚ます




おはよ、

ごはんだよ






2007/12/10 (Mon)

[96] 大切な時間
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放つ一言で
銀河も飛びこえた
気もち



好きな瞬間が
一緒でうれしい


待ってる間に
思い出し笑いの
種がふえるから




離れてることは
寂しいことじゃなくて



次また会うまでの
心をそだてる
大切な時間






2007/11/27 (Tue)

[95] アップルリング
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しゅるしゅると
剥かれる林檎のかわ



途切れないで
終わりまで行けるかだって



君の望みは日常の
へんてこな場所に
転がってる



でもちょっと
羨ましいかも



種が飛んでも
笑うんだろ



変色しないための
塩水なめて
顔をくしゃくしゃにした



林檎のかわは
二人分


君を見てる僕の心も
つないでくれる






2007/11/19 (Mon)

[94] 底抜けエアブルー
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きみに感化され
見上げた空


あちこちから
思いが降ってくるって



しばらくあんぐり
眺めてみたけど


あたしには
無いみたいだ




強いとか
現実的とかじゃなくて



絡まったまま
先へ行けないから



そのつど ほぐして
じゃないと


あたしが
あたしでいられない



綺麗だね
底抜けにエアブルー



心は言葉に
追いつかないから



何だか
もったいないよ








2007/10/31 (Wed)

[93] 金木犀─風の余韻─
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むせ返る匂いのもとに
ふと目を添わせば




こぼれ落ちるよな
それは それは
小さな花びらが




一心不乱に
我が身をゆらす





ああ 今頃だったかと
胸にひろがる思いに
手のひらをあて




見上げてみれば
夕日とともに
刻んだ風景までもが




匂いに導かれて
全身を包みこんだ




無事を知らせる
風もとどかない
この場所で




ほんの一瞬胸をかすめる
余韻のわけを




問うべきかどうかなど
そんな事さえ
迷う自分の




なんと
馬鹿げたことだと
ほほを緩ます
ある日の夕べ

2007/10/22 (Mon)
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