詩人:はるか | [投票][編集] |
誰が
教えてくれなくても
気配でわかるね
夕方のそらの
一段と濃くなった
かんじとか
半袖のうでをさすった
自分の手の温度
だったり
誰も言わないけどね
感じるよ
口にすると
少し寂しい
いずれ消えて
いってしまうからかな
先を見通す
この癖は
なおりそうで
なおらなくて
重ねて見る季節に
顔をゆがませて
君のぬくもりを
探してしまうよ
詩人:はるか | [投票][編集] |
勇気づけてくれて
うなずいてくれて
見守ってくれて
支えてくれて
こんなにも
こんなにも
自分勝手で
わがままな僕なのに
そばにいてくれて
たまに
遠ざかってくれて
分かろうとしてくれて
たしなめてくれて
どんなにか
どんなにか
希望が見えたか
しれないや
さんきゅ
照れるから
イングリッシュ
さんきゅ
つつしんで
許されたい
おなじ過ちはしないよ
きみの心で
僕はまた
やりなおせる
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電波にきらわれた
午前0時
どしゃ降りBGMが
気に入らなくて
煙草のけむり
大きなため息で
宙にまきちらした
物書きならこんな時
雨音リズムで
韻ふみしながら
自然の神秘を
詩うのだろうか
夢追いならこんな時
君への距離を
ひと跨ぎして
銀河の海に
身を投げ出すのだろうか
君眠る街の
午前0時
大きく息つぎひとつ
必要としてるのは
君よりも
もっと ずっと
僕の方だったんだね
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ときは動いてる
ちくちく たくたく
きざむ音が
消えたのは
おじいさんが
ネジを
巻かなくなってから
どうして?って
聞いたら
一生分もう
巻いたんだって
新しい時計は
お日さまみたいに
ピカピカだけど
おおきな
文字盤ばかりが
目について
僕はあまり
好きになれないと
思った
日にやけた
壁のあととか
おじいさんが
きっと
おにいさんだった頃の
なごり≠ニかいう
やつなんだ
ちくちく たくたく
ときは流れてる
おじいさんは
片手をさすりながら
もうたくさん
巻いたんだよって
笑って言った
動かない片手を
さすりながら
しきりに
僕に
笑って言った
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真新しい本を一冊
手にとると
肌に吸いつくみたいに
なめらかです
季節でいうなら
それは5月の
草原をわたってきた
風のようで
これから出会う
かずかずの言葉たちに
鼓動は早鐘を
うち鳴らし
先へ 先へと
私をよく
急きたてたものです
今日の日まで
それでも私の人生と
一緒に生きてきた
彼らは
やがては
私自身の
手あかにまみれ
吸いあげる
喜びやかなしみにつれ
その身をセピア色に
変える日がきても
ただ黙って
そこにいて
添うように
ひらに馴染んでくる
ありがとうでは
足りない気持ちを
どんな言葉で
返していいのやら
ざらついた表紙を
なでながら
想いは宙を
往きつ戻りつ
果てなき道中を
さまようばかり
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人は何故いがみ合うのでしょう
一人ひとりの手の中の
優しいカケラの一部分
ちょっと削って
分けてあげさえすれば
それだけでいい事なのに
それぞれの胸の中の
小さく丸まった一部分
ちょっと膨らませて
ゆずってあげさえすれば
それだけで済む事なのに
もったいないと
物を大切にすることを
教えてくれた人たち
心までも惜しみますか
もったいないからと
取っておきますか
思い出して下さい
人が人とふれあうこと
気持ちと気持ちが
かさなること
みんな昔は
あなた達から
学んできたことだ
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シャツの色は白だって
そこばっかり
目にくっつくの
イメージは爽やか系
思ってるのが
自分だけってとこ
好き
どんなんでもいいんだ
横にいたら
わかるもの
言わなくたって
わかるもの
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シンと張った空気
うごき出す前の
無防備な心に
それはよく似ていて
どんな気も、感も
上手く真っすぐに
受けられそう
からまった糸が
ほぐれる気配
ああ こんなんで
いいんだった
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パスタはいつも
アルデンテ
冷めても過ぎても
美味しくないの
テーブルに着くのは
ちょっとだけ早い
まだまだ芯が固いのよ
恋はいつでも
アルデンテ
何事も頃合が肝心なの
白いお皿を並べてね
きっかけとタイミングを用意して
あなたと私の
アルデンテ
湯気の向こうに
あなたが見える
抱きしめる手筈は
ととのった?
ちょうど食べ頃
気分も上々
煮詰めたソースの
甘酸っぱいレシピと
口説き文句を
たずさえて
さあ
じっくりご賞味あれ
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時は止まることなく
ゆっくり流れていく
すすり泣く声は
どこか遠くて
現実との境が
うまく見つからない
手入れの行き届いた庭は
今年もやがて
白い花が咲くだろう
あなたが慈しんだ
ものたちが
今は静かに
息をひそめて
水面(みなも)の月を
眺めてる
薫る五月の風にのり
あなたが運んだものは
何だったかと
思わず問いかけて
口をつぐんだ
言葉にするには
もどかしく
留めておくには
しのびなく
ただ ただ
冷えた腕をさすり
有りし日の面影を
なぞるだけなのです