詩人:はるか | [投票][編集] |
その時僕等は
声高らかに走り回り
君は笑って
時間の許す限り
この砂浜にやって来ては
水平線と空が
溶け合うのをながめた
縛られず
とらわれず
全ては一瞬で可能になる事を信じた
叫んで 飛んで
甘くて
自由だった
はみ出た僕等の行き先は
夢や希望なんて
そんな綺麗なもんじゃなく
ただ目の前にある
その先へと手を伸ばすだけ
それは それだけで
僕等には十分だったさ
誰かが忘れていった
黄色い麦藁帽子
波間に落ちて
青に溶けた
暑かったね…
夏
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最愛の息子が覚えた
最初の言葉は
「パパ」だった
どう見たって
そんなキャラじゃないが愛しい我が子の手前
目をつぶってやろうと
決めた
さて…
お次は「ママ」の出番!と思いきや、
じいじとばあばが丁寧に「お母さん」を繰り返し気付けば 息子も
「ぉがーがん」
夢や希望は 一網打尽
コッパミジン
ああ 理不尽
ママと呼ばれて振り向くあたしを 何度心に描いたことか
それでも黒目がちな瞳に映る あたしはこの子の
「ぉがーがん」
されど母は強し
女は度胸と覚悟決め
岩をも砕くような この響き
しっかと胸に焼き付けて岩壁の母になり替わり
雨が降ろうが
槍が降ろうが
影になり 日向になり
地となり 標となり
しっかと守り抜いていこうと
心の日記に
そう 綴るのです
「ラブリーママの
子育て奮闘記」
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静かにポツリ
ポツリと呟く様に話す
耳に心地いい
聞き慣れてしまった
あの人の声
壁にもたれ
互いの言葉に寄り掛かりそうして思いを
積み上げていく
無数の泡になって
消えてしまわない様に
瞬間で包み込んで
いつも何かを
諦めたようなあの人の
あれは迷い
あれは優しさ
あれは鏡に映った自分
顔が見えなくても
見えないからこそ
分かってしまう
あの人は時々
不思議な事を言って
はぐらかしたりするけど
私はどんな言葉でも
素直に受け止めるわ
私はどんな心でも
耳を塞いだりはしない
何を言っても
私 驚かないでいるわ
何を聞いても
それは 全て
あの人の こたえだから
あの人の 声だから
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夕暮れに降り出した雨
霞みの裾の後ろ影
もう此処に待ち人は来ず
宛てなく散る花に
身を寄せて
繕えない感情の波に心を委ねる
嗚呼、
かの人は迷いを
断ち切られておしまいになったのです
さすれば我が身
果てる花に姿を変え
いっそ
葬り去って下さればよいものを…
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笑い合って
ふざけあって
拗ねたり おどけたり
からかったり
あの頃が一番
良かったね 私達
あなたがいて
私がいて
それだけで良かったもの
目に映る物が
全てだった
他には何も
いらないと思った
時の流れでさえ
思いのままに
変わったのは誰
変わらなかった物は何
信じた時はいつ
信じる事をやめたのは
何故
季節は
また巡る
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君から僕へ
思わず失笑その形相
時には泣きたくなっちゃう程の健気なアプローチ
必死な君には悪いけど
ここは少し意地悪に
まだ隠しておこう
とっくに君が好きな事
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「すいません!」
凜とした声に振り返る。目の前に居たのは、白い杖の女の子。
多くの人が行き交う場所で、一瞬私と彼女の周りにだけ空間が出来た。
杖の意味するところは
すぐに理解した。
「バス停はどこですか?」
少し躊躇した。言い訳を考えようとした。
どう接していいのか
うろたえる自分が情けないと思った。
中途半端な親切心。
私は彼女の肩を回し
「このまま真っ直ぐ、向こうの方へ…」 と、
自分の指で指し示した。
恥ずかしかった。
情けなかった。
なんて無知で愚かな自分であったろう。
確かに私は急いでいた。だが、それが彼女に何の関係がある。
私のした事は、彼女の声に気付きながらも
何食わぬ顔で通り過ぎた周りの人間達と
何ら変わりない。
人は生まれながらにして平等と、世の中は言う。本当にそうだろうか。
それとも、そう考える事こそ奢りだろうか。
出会いとは偶然か必然か少なくとも無意味なものにしない為に、記憶と共に彼女の後ろ姿を この目に焼き付ける。
そうして、生きたいと…私は思う。
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グラスの中の氷が
溶けてぶつかる
もう少し あと少し
まだ留まる感情
時間と共に
薄れゆき
この場所から
一番遠いところへ
自分を守るような
愛し方しか知らなかった
二人でしか
成し得ないものが
沢山あったというのに