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夢の続きにまどろんでいた。
月はやがて夜の闇が薄れると共にその輝きを失い吸い込まれていく。
明けぬ夜は無いか。
全ては初めから分かっていた。出口の見えない迷路の中で出逢った僕達に共に辿り着く場所など無いという事。
皴の寄ったシーツを掌でなぞる。君が居た証。
ほんの微かな、微かだが僕がバラバラに崩れるには充分なほどの、奥底に覚える痛み。
…あぁ、君は居たんだ。
不意に切なさが込み上げる。
何も残さないとは
二人のルール
今となっては悲しい
決め事。
…あのドアを開ける決意を長い黒髪と共に固く結んだ君。
僕には持てるだろうか。その勇気を…
勇気を…。
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あっ君は物思う
一人になりたいと
人知れず切に願う
だって一人なら、こんな素敵な事はない
フカフカお布団で朝寝坊三日月パンを死ぬほど食べて
底無し池を見に行こう
隣の大っきい兄ちゃんのビービーうるさいオートバイ乗って
運転なら任せとけ
だって僕は達人なのさ
白バイのバッテリーカー僕の右も左も出るやつはいない (…と、なっちゃんママが言ってたし)
僕は行けるんだぜ
何でも一人で出来ちゃえるんだぜ
暗闇だって夜中のトイレで練習したし、道なき道もへっちゃらおまぬけ
この世界は僕だけのもの
くたくたに疲れたら家へ帰ろう、
男の大冒険夢とロマンの後には具沢山のクリームシチューと決まってる
ママのシチューは世界一
お疲れあっ君
一人になりたい願いも
忘れ
匂いに誘われ家路に着いた
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いつからかこんなに
悲しかった僕等は
互いの心を離れ
行き着く場所さえ
見失った
過ぎてしまった
記憶を頼りには
進めないね
もう
何かが違う二人は
深く深く途方に暮れ
響き合うはずの
音すら掻き消された
空洞の中で
ただ
はがゆさと闘う事のみを許され
やがて
負けた一方が
最後の言葉を口にするのだろう
悲しいのは
二人で居る
孤独だった
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歩いて家に着くまでに
自転車乗ったおばさんとすれ違ったら僕の勝ち
子供が一人と猫二匹
散歩途中のおじいさん
おばさん今日は雲隠れ
こんな賭けして何になる勝っても隣で微笑ってる君は戻ってこないのに
全て終わった恋なのに
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元気ですか
この坂道を通ると今も
君の声が聞こえてきそうです
笑い転げたり
急に押し黙ったり本当に忙しい君だったけど
泣き言一つ言わない君があの日だけは違ったんだ
ねぇ、覚えてる
旅立つ君を見送るのは
ボクの役目だったのに
「行きたくない」と
君が泣き出した事
繋いだ手はいつしか
解けてしまったけど
君と見た景色は
今も変わらずここに在る
背中を押すボクの手は
もう君には必要ないから君はただ、先の未来を
見つめ続ければいい
差し出す傘も
涼しい木陰も
君を包む全ての物が
ボクの代わりに
君を守ってくれるはず
海の碧が
閉じた瞼からも眩しくて
顔を覆う以外に
僕には何も
出来ない気がした
僕にはもう
何もない気がした
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寂しくて
寂しくて
壊れてしまいそうな夜
拭っても
拭っても
とめどなく溢れる涙
言葉じゃ伝え切れない
想いが
もどかしくて
情けなくて
貴方に伝わらなかった
想いが
悲しくて
せつなくて
一層想いを募らせる
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あの頃
危なっかしく駆けてきて両の手でしがみつく
あなたの背は
私の腰の高さ程も及ばず
私を映す
その瞳が見たくて
あなたをそっと
抱き上げた
この先のあなたの未来がどうか
あなたにとって
生きる力となりますように
この先出会う全ての物がどうか
あなたにとって
愛すべきものになりますように
まだ意味さえわからないあなたに
せめてもの
祈りを捧げます