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はるかの部屋


[89] なごり
詩人:はるか [投票][得票][編集]




ときは動いてる
ちくちく たくたく


きざむ音が
消えたのは


おじいさんが
ネジを
巻かなくなってから




どうして?って
聞いたら


一生分もう
巻いたんだって




新しい時計は


お日さまみたいに
ピカピカだけど


おおきな
文字盤ばかりが
目について


僕はあまり
好きになれないと
思った




日にやけた
壁のあととか


おじいさんが
きっと


おにいさんだった頃の

なごり≠ニかいう
やつなんだ




ちくちく たくたく
ときは流れてる



おじいさんは
片手をさすりながら


もうたくさん
巻いたんだよって


笑って言った



動かない片手を
さすりながら



しきりに
僕に
笑って言った






2007/08/22 (Wed)

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