掌を上に上に突っ張る。高く高く掌を天に突き出す。寂しさも虚しさも悲しみも苦しみも憎しみも愛しさも欲望も願望も全ての思いを掌に込め、掌を天に突き出す。何か、何かを掴みたくて、ありったけ全てを込めた掌は熱を帯び、更に高く高く高く高く突き出されるが、何も、決して何も何一つとて掴む事は出来ない。掴めやしない。熱は飛散し、思いは冷めて行く。死に体と化す…
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