詩人:明希 | [投票][得票][編集] |
幾重に重なる色彩と
目の前の白いキャンパス
筆には情景を集めて
思うままに絵を描く
それは鉛筆の真っ黒な絵で
かりかりと連ねてく
想いは白と対をなす
「ここにいるよ」
キャンパスは呟く
有言無言の二色の世界
フィルターを経て
ただ一色
見慣れた景色はただ黒く
目に馴染んで居る
一閃
光が零れフィルターは
透けて消える
見落とした色彩の
世界の喘ぎを耳にした
空は青い絵の具で
街路樹は萌葱色に
そうして染めた僕の眼さえ
何色なのかも判らない
筆には情景を集めて
キャンパスには
描く君を有りの侭に
連ねた虹色は果ての夢
知りゆく色は道標
筆が捉えた色彩の名を
漸く僕は覚えていく
下書きの世界に
一筆を重ね々々たならば