詩人:さみだれ | [投票][編集] |
光景は時として視界を塞ぎ
やがて訪れる雷雲を
風に撫でられながら知る
行き先を告げず飛び出し
その時開け放した扉を
今さらながら心配する
太陽は海を伝い現れた
誰もがその光景に気付かず
息をしながら眠っていた
しかし今!
朝の静けさに言い知れぬものを悟り
少女は男のそばで目を覚ます
なぜ在るのか
この上ない寂しさを少女が身に纏ったとき
光景は光のもとに移り変わり
優しく太陽が風が少女を撫でるのであった
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人を愛する心が
コーヒーを温めたら
あなたの傷んだぬいぐるみが
あなたを愛してくれたら
もっとあなたを愛せるのにと
そうでなきゃ愛せないのか
今日の終わりに囁く
自然に手を重ねる
ずっと一緒にいよう
冷めたコーヒーと
湿ったたばこが
あなたのぬいぐるみを汚して
それで満足する
愛することは
心を変えるけど
それが愛というのなら
ぬいぐるみを治そう
あなたを愛するために
ぬいぐるみを治そう
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彼女は僕の背中に寄り添い
丸くなって眠っている
トラックの荷台の中
頼りなさげなこの世界で
妹なのだろうか
そんな愛情がある気がする
また恋人だろうか
そんな愛情も混在している
彼女のほうに寝返り
腕を回して包んでやる
鼻が擦れ合う距離に顔があり
僕は目をつむる
唇に何度も柔らかい感触
彼女は悲しいのか
そんな感情が流れ込んでくる
幸せなのかどうか
彼女も僕もわからないでいる
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何が悲しいのか
わからないくらい
涙が流れない
太陽を見すぎたようだ
ほんの少しの火薬が
胸の中にあるのがわかる
ほんの少しだから
爆発しても死なない
欠けているのだろう
生きている感覚が
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太陽が月に微笑む
そんな当たり前のこと
どうしてできないのだろう
そこに飛行機はないのに
カラスも星も見あたらないのに
月が太陽を思う
そんな夢のようなこと
あるはずないだろう
あれはただの衛星で
恒星の光を受けてるだけなんだから
夢に生きた月
現実に生きた太陽
どこか不鮮明な光の中
互いを思いやれたなら
三日月に座り込む魔女も
日を浴びて実る果実も
同じ時間に生きられるのに
何もかも寄り添って生きられるのに
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もしかしたら
いるというだけで
幸せなのかもしれない
言葉が届くだけで
いいのかもしれない
見ていられるだけで
いいのかもしれない
触れられるだけで
幸せなのかもしれない
いないということは
幸せにはならないのだろう
信じるだけでは
嬉しくなれないのだろう
ただいるというだけで
本当は幸せなのに
そんな幸せを噛みしめないのは
おかしいだろう
もしかしたら
求めすぎていたのかもしれない
一緒にいたいなんて言えるのも
そこにいるからなんだ
幸せだって感じるのも
そこにいるからなんだ
だから、いてほしい
このだだっ広い世界のどこかにいてほしい
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私は死にたがり
私は生きていたい
私は幸せになりたい
私は人に優しくしたい
私は詩人でありたい
私は空を飛びたい
私は世界を見たい
私は人に愛されたい
私は泳ぎたい
私は宇宙に出たい
私は一人では生きられない
私は誰かにいてほしい
私は夢の中に
私は約束を守りたい
私から死を奪える
あらゆる事象がこの世にあるのに
私からは遠すぎた
私は生と死にすがりついている
みっともない姿ですがりついている
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何度あなたの詩を書いても
あなたは見ていない
ずっと夢から覚められず
眠ったままなのはどっちだろう
現実って信じられない
夢の中かもしれない
あなたがいた場所は
どうすればたどり着けるの
忘れられないよ
青く暗い夜
忘れられないよ
その一言が
信じてもいいの
手を繋いだこと
信じてもいいの
二人きりの夜
本当は疑ってる
いないってわかってる
信じたいだけだって
本当は気づいてる
それでも忘れられないよ
心がひとつになったこと
今も忘れられないよ
あなたが好きだったこと
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光の中
遠い部屋の窓
頭の中
逆流する過去
空の真下
夢みたいな風
遮る雲
落ち着かない心が
何度目かのため息
洗剤の匂い
昨日の夜が
嘘だったように
空を分けた飛行機雲
太陽の音
泣き言なんて
掻き消してしまえよ
誰かが起きた
色んな生活
色んな過去
色んな夢
色んな現在
行くべき場所
行こうよ
光の中
遠すぎた窓の外
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グラスに一杯のミネラルウォーター
それだけであなたの両手は塞がってしまう
奮発して買ったステーキ
手をつけるのがもったいないなんて
たまには一輪挿しを置いて
ゆっくりと話しながら食べよう
パンをちぎるあなたの手を止めて
お腹がはち切れるほど幸せにしよう
あなたが赤らめた頬が
ハムみたいで笑ってしまった
あなたが怒って黙り込むと
ステーキは魔法のように消えていく
いつまでだって食べていたい
あなたと二人で食べていたい