詩人:さみだれ | [投票][編集] |
雨降りの夜
いつも探してる
君の声も
なんだか遠い気がして
また出会えない
それでもそばにいる
この心は大事にとってある
勇気なんて大層なものじゃない
希望なんて淡いものじゃない
振り返っても
いつものように
君の姿も
なんとなくぶれている
雨降りの夜
まだ君の声
少しも聞いちゃいないのに
名前みたいなありふれたものでも
約束みたいな些細なものでも
なんだっていいんだ
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いつからか
楽しいと思えることが減った
泣くこともなくなった
ケガをして泣きじゃくって
ヒーローになって駆けずり回って
何かを失えば
何かが手に入るというなら
今、一体何を手に入れただろう
怒ることも
殴り合うこともなく
怖いことも
嫌いなものも減った
ぽろぽろ欠けていく何かを
繋ぎ止める術があるなら
何かを手に入れることもなかったのだろうか
何かを失うこともなかったんだ
さようなら
さようなら夕暮れ
さようなら
また会う日まで
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神様が与えた幸運は
思わぬところに顕れる
あなたが頬杖ついて空見ていれば
UFOがぷかぷか浮いている
普段寄らない喫茶店に入れば
素敵な出会いが待っている
ベッドですやすや眠っていれば
楽しい夢が見られたり
風呂にとっぷり浸かっていれば
胸が大きくなっていたり
そんな一瞬を忘れた頃に
また幸運は巡ってくる
楽しみだなぁと待つよりは
何気なく生きていよう
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川の向こうに
君がいるような
錯覚を信じてみた
海のそばに
君がいるような
予感を探ってみた
町の中に
君がいるような
運命を感じてみた
心は風に吹かれて
飛んではいかないし
海に流されて
溺れることはないし
けれど心は
空のように色を変える
ただ形を変えずに
目の前に
君がいるような
そんな希望を確かめた
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混じりけのない
水溜まりのように
避けられたり
踏みつけられたり
掬うことも忘れられ
だんだん渇いていくんだろ
今は青いペンキで
空を塗り潰してあるけど
知らないうちに誰かが
白をこぼしているけど
いつか嫌になって
焼いて真っ黒にしてしまうんだろ
何もかも元通り
ってわけにはいかない
壊れなかったり
直らなかったり
流した血の色も
焼けたアスファルトも
気にしてないうちに
どことなく変わっていくんだろ
気づいたときに変わっていたんだろ
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日当たりのいい庭
彼女は水を撒いている
花が顔を上げて
口を開けているようだ
彼女はいつも楽しそうに
歌を口ずさんでいる
彼女がひとつの「音楽」のように
世界はその音に魅入られた
わたし、ほんとはよくわからないの
なにがたのしいのか
どうすればよろこばれるのか
だから、ね
おしえてほしいの
しあわせならしあわせだって
いってほしいの
彼女はいつまでだって水を撒いた
気が遠くなるほど長い月日
もう自分の名前だって忘れただろうに
彼女はずっと愛し続けた
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このまま眠っていれば
あらゆるものが変わってくれて
重荷を背負う必要も
いらなくなってしまうだろう
このまま眠っていれば
行きたいとこに行けるような
会いたい人に会えるような
そんな気がするんだよ
また月に会って
太陽は去って
風が肩を叩いて
海が話を聞いてくれて
夏がすべてを許して
あなたがいてくれて
変わらないでいいものも
変わってしまう
起きていようよ
やらなきゃならないことあるかな
変わる悲しみに耐えられるかな
眠れない痛みに慣れるかな
起きていようよ
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夜に抱かれたのは誰
星を数えてばかりいるの
ベッドで見る夢はいつも幸せとは限らない
だから朝は来るのでしょう
一人が二人にならないのは
二人が一人になりたくないのは
一人が二つになれないのは
二人が一つになりたくないのは
必ずしも幸せではないとわかっているから
月の魔法は解けている
もうとっくに解けているのでしょう
消え入る夜の面影を
名残惜しそうに見つめている
星を数えることも忘れて
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誰かのために書いた
どんな綺麗な風景も
本当はなくて
誰かのために書いた
勇気づける声も
自信なさげに見えて
誰のために書いた
もてる優しさをすべて
ひとつの言葉に注いで
「ずっと」って言葉は
本当になるのかな
重荷になるのかな
わかったつもりだった
君のこともわからなくて
なんだか怖くなって
誰かのために書いた
不自然な思いやりも
居場所をなくして
悲しいふりはたくさん
美しいものもなくていい
ただ信じられるなら
誰かのために書いた
消し跡だらけの言葉も
どこか嬉しそうに笑って嬉しいな
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手の中には花びら
色づいた肌
嘘を並べ立てて
誉めたら気づいた
本音がどこにもないってこと
その喉を潰して
誇っていたって
誰かがそのうちに
周りに聞こえるように
カッコ悪いね
染み付いた季節を
真っ白に洗う
目に見えてきれいだ
本当は何がきれいなんだっけ
喜ぶ声が聞きたい
感謝されていたい
嘘が返ってきても
本音で返してやりたい
本音だって気づいてもらいたい