詩人:さみだれ | [投票][編集] |
知らない町と
知らない人
知らない風と
知らない音
知ることができない
知ることが怖い
誰かの言葉に
影が落ちたような
見てしまった心に
気づいた本音
何も知らなければ
一センチ足らずの心で
大人になってたのかな
知ってる町も
知ってる人も
知ってる色も
知ってる温もりも
すべて置いておけば
知らない言葉も
知らない匂いも
すべて抱き合えるような気がした
少しだけど心が膨らんだような気がしたんだよ
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照れくさそうに
顔を出してる
それを見て魔女が笑う
飛行機が通るたび
くしゃみをしているの
知っているよ
君が落とした鱗
誰かに見せたくて
本当は君に
一番見せたくて
太陽に伝えておくよ
君のこと話しておくよ
嬉しそうに飛び出した
その光が眩しすぎて
なんだか照れくさくて
影に隠れたの
知らないでしょ
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肌に触れて
好きだと言う
心を見たくないがために
たったひとつの愛を
潰れるほど抱いて守っている
あたえてしまうことに怯えている
愛を与えるにふさわしい人を
たくさんの恋人から選ぼうだなんて
それが恋愛なら
つまらないものだ
愛を与えるにふさわしい人と
理解し合うまでの行程を恋愛と呼ぶんじゃないのか
付き合うことは賭けなんだよ
その先には一生か一瞬しかないんだから
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小さな心で
いつも感じている
優しくなれたらいいのにな
君のこと考えて
いつも感じている
守ってあげられたらいいのにな
流れた涙を見て
今日も思っている
優しくなれたらいいのにな
ひとりになって
今日も思っている
心がもっと大きかったなら
君のことたくさん
いつも考えて
今も感じている
守ってあげたいんだ
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自殺志願者の心の隙間に
手を入れて言うんだよ、君は
「死なないでね」って
それがまさか自殺志願者の心に毒のように浸透していくなんて
君は思ってもいなかっただろう
「めんどうね人間て」
そうだね、なんて賛同してしまえば僕らは恋に落ちてたのかな
だから今、君は数字以上他人以下
僕にとっては閻魔さま
はたまた神様なのかもね
そんなことが当たり前のように
記憶にこびりついていたら
君と僕の関係なんてものも
もっと早くからわかっていて
君の言葉に従いながら
生きたり死んだり楽にできたのに
「ふふっかわいいね」
とりあえず今だけは死んでも楽かな
「一緒にいようね」
とりあえず今だけは生きても平気かな
太陽のような微笑みもまた
赤い満月のような影に吸い込まれて
コウモリの羽を生やしたそれは
ゆっくりゆっくり長い爪を
心臓に見立てた心に突き入れていく
甘い蜜の夕焼け味を体に行き渡らせて
「ね、約束よ」
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君が無くした彼は
ひどくやつれたなりをしていた
気づいてなかったの?
幸せという言葉を彼が嫌っていたこと
君が愛した彼は
魂の抜けた人形のようだった
知らないとは言わせないよ
彼のものをすべて奪い取ったのだから
君は彼の目になれる?
なって幸せを見つけられる?
だめだよ
君の心も彼にしなきゃ
怖いだなんて
君は彼を愛していないの?
彼のことを知りたくはないの?
君が忘れた彼は
ひどくやつれたなりをしていた
荒んだ心か空っぽの心か
彼は生きた心地はしなかったのかな?
君はもちろん幸せだろうね
彼を忘れた君は
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夜が明ける頃に
おわかれをしよう
喧嘩してても
泣いてても
離れたらきっと
変われるよきっと
機嫌をとることも
好きになってもらおうとすることも
しなくてすむんだろうな
朝がわからなくなる頃に
よろしくの握手だ
心を探るような
見定めるような
そんな手じゃきっと
つまらないよきっと
仲良くなりたいんだよ
見てほしいから
おどけてみせるけど
これは違う
こんなの自分じゃない!
駄々をこねて求めている
涙を流して崩れていく
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窓を叩く朝焼けを
鳥がなだめる晴れた日も
屋根に落ちた雨粒を
蛙が掬いとる曇り空も
拾うには遠すぎる
思いでの回廊を歩き
また君に出会うことがあっても
何色にもなれる鏡じゃなくていい
どんな色が綺麗かなんて悩まなくていい
僕の心を疑ってもいい
皺だらけになっても笑いかけてくれる
そんな君だからいいんだ
窓にすがる夕焼けを
烏が慰めるノスタルジーも
窓にすがる月影を
太陽が抱く夜のことも
捨てるには近すぎる
よくできた望遠鏡を覗き
また君に出会うことがあるなら
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耳障りな音もない
目が乾くこともない
気持ち悪い汗もない
寒さも暑さもない
その夜には光が射して
空気のように漂う心
その頬には光が映って
行き交うものは何もない
ただひとつになったから
この世界はふたりのもの
さみしい気持ちも悲しい思いも
音もなく窓から去っていく
その夜には光が射して
もう光に溶け込んで
その髪には星を散りばめ
きらきらと輝いていた
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楽しいことはあっという間に
嬉しい気持ちを連れ去って
悲しいことは永遠に
さみしい気持ちを伴って
喜ばしい朝の匂いも
いつからか鉛の空気
うだるような暑さの中
風がいつもより近く感じる
楽しいことはあっという間に
悲しいことは永遠に
見えないものはすぐ後ろに
聞こえたものはすぐそばに
いつかの夢は眠らずに
今日のことは忘れずに
嬉しい涙は半分に
さみしい背中はひとつに
楽しいことはあっという間に
溶けて明日に沁みていく