詩人:さみだれ | [投票][編集] |
心が
手をすり抜け
落ちた
パリン、て
割れた
私は人外になった
悪い奴
醜い奴
嫌いな奴
みんな
胸から剥がれた
だって
私は進化しなきゃ
ならないもの
また
心が
パリン、て
割れた
何個目だろう?
わからないね
パパやママも知らない
大人には
かんじゅせいがないから
ねえ
隣のあの娘
処女じゃないんだよ
だからね
キリストは生まれないんだよ
誰も知らない
明日
夕日が怖いのは
そのせい
でもね
僕には心が
パリン、て
ないから
平気
みんな笑ってても
平気
みんな泣いてても
平気
みんな怒ってても
平気
みんな苦しんでても
平気
みんな恐れてても
平気
みんな平気でも
平気
へいきだよ
詩人:さみだれ | [投票][編集] |
夜の涙
地球に落ちて
涸れた声の
君のほほへ
泣き虫こむし
どっか行けよ
君が大人になる前に
夕べ笑った
その気持ちで
笑窪に詰まった
その気持ちで
たくさん幸せになるんだ
君が大人になっても
夜が眠った
地球のとなりで
微笑む君の
寝顔のそばで
おひさま会えるときを
楽しみにしてるよ
君が大人になる頃に
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ただひとつの不安定な塊になって
短い時間を
無意識に過ごしたい
歪んだ心の捉え方や
冷めてしまった感情の無機質な様を
地上に放って
私は魂の器だけを
不安定な塊の核にして
永遠にも思える短い時間を
無意識に過ごしたい
無意識であったならば
淫らな人類の幕は閉じた
進化の過程で失われていったものを
私たちはついに思い出すことはなかった
私たちはひどく曖昧であったし
水よりも固く
岩よりも柔らかかった
王たる威厳すら
獣どもの前では霞んでいた
驕るなよ
私たちはなんてことはない
ただの生命にすぎない
世界が不安定な塊で
その核となる魂の器は
あまりにも多すぎた
だから私はただのひとつの不安定な塊になって
永遠にも思える短い時間を
無意識に過ごしたいのだ
"あなたが"無意識であるならば!
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あの一際輝くお星さまが「嘘」だと言うのですから
夕暮れのバスに乗り合わせた私たちの
ありふれた運命とやらもぷつりと切って
本当に「嘘」になってしまうのでしょう
誕生日のロウソクを消すように
ふっ、と
夜の淵に吸い込まれるのです
ある国の宇宙船が
私たちを見下すために
高く高く
飛ぶ鳥のようにも
くじらのようにも見えるそれが
高く高く
私たちを置いてきぼりに
夢?希望?
いいえ
あれは満たされるための旅
私たちに権利なんてないのです
私たちは重力から羽ばたくことはできないのです
赤から青になって
増えたり減ったり
上が下になって
あったりなかったり
お星さま
残忍なお星さま
楽しんでいらっしゃいますか?
お星さま
愉快なお星さま
夕暮れのバスに羽を与えてください
お星さま
綺麗なお星さま
あなたは神様なのでしょうか
そうでなければ
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やがて私は色とりどりの羽を得て
長い長い旅に出るだろう
蝶は気まぐれでもないさ
いつだって不安にかられて
花畑を回り続けるんだ
私は終わることを恐れる
この手が詩を書けなくなる日や
誰かとの決別やらが
しかし永遠というのも同じくらいに恐れる
蝶は喜びだけで飛んじゃいない
その羽は私が思うより
ずっと重いのかもしれない
残念なことに私には羽がない
長い長い旅を
この足で歩かなければならない
いつまでも不安にかられて
この星で生きていくんだ
永遠でもないさ
ただ永遠のような時間が一瞬でもあれば
終わりだって恐くないだろう
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夢のような毎日を
君はこれから過ごすんだよ
大きすぎる空を
飛ぶことだって
君には容易いことなんだ
コツはそうだな
忘れないことかな
君を守ってる人を
君に僕がしてあげられるのは
大きすぎる空を
変わらないように
僕を守ってる人を
忘れないように
よかった
生まれてきたんだ
夢のような毎日に
君がたくさん喜ぶように
僕は祈っている
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ある朝
それは目を開けて
白い靄の中に青を見つけた
やがて靄は晴れて
それは途方もない世界を見た
耳に触れる音の風
透き通る川のにおい
草花は話しかけるように揺れて
蝶がそれに答える
そんな途方もない世界
それは全身からわき上がる
何か雲に似たものを感じた
そしてそれは叫んだ
言葉もない
ただの声をそれは発した――
我々人類は
共存に固執する哀れな種だ
世界でひとりきりになったなら
私はどのようにして生きようか
生きていられるだろうか
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君は流れ星を履いて
空を跳ねる
銀色の三角ぼうし
きらきらとラメが剥がれて
僕はベッドから出られない
君と散歩がしたいのに
月がとても明るくて
夜風に乗って
君は踊るのに
君の影が雲を抱いて
僕のカーテンで眠る
君の影の小さな手をとって
僕の影は眠った
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私はどうして
月影の朧な道を
ふらり
ゆらり
くらり
さ迷っているのだろう
私はどうして
凍りついた空の海を
ふらり
ゆらり
すべり
震えているのだろう
訳のわからない
音が衛生軌道上から
突き刺すように
また撫でるように
半世界の私は
月影の朧な道を
ふらり
ゆらり
のらり
くらり
さ迷っているだろう
街角の私は
何食わぬ顔で
見ている
何食わぬ顔で
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機械が
私の脳を
汚しました
あるひとつの感情
あるひとつの記憶
あるひとつの知性
電波で送られてきたそれらは
1と0になり
私に注がれます
私と異なる媒体は
バージョンアップし
私は
廃品と呼ぶにふさわしい代物です
まっとうな人間は
自己主張を繰り返し
進化していると錯覚します
しかし低スペックの私は
他者を依代に
進化しなければなりません
私の脳を
電気虫が這っています
おそらくそれは
自己主張を餌に
生きているに違いありません
何しろ私は
廃品と呼ぶにふさわしい代物ですので
そういった欠点があっても
不思議はないのです
まっとうな人間は
矛盾こそが人間らしさだと言わんばかりに
その時の電流値によって
言うことが違います
晴天の日に
愛した人を
雨の降る夜に
愛さなくなるのですから
機械が
脳を支配する私は
一途に思い続けなければ
熱暴走を引き起こす恐れがあるので
そういった矛盾は
生まれません
なので私はまっとうな人間とは
程遠い
寂れた媒体なのです