詩人:さみだれ | [投票][編集] |
さみしそうに天蓋を覗く
あなたと目が合う夜明けに
銀色の風が町を吹き抜け
僕は凡人になった
友達は恋人と家族になり
新聞はパンダの赤ちゃんを一面に
公園でおじいさんが猫を撫でていて
隣家の子供が騒々しく出かけていく
夜間トラックはコンビニに駐車されて
思い出したかのように鳩が鳴き始める
上司は娘と不仲になり
テレビは新法案のことばかり
ビルの窓には気怠そうに煙草をふかす若者がいて
大学生はサボりを決めた
さみしそうに天蓋を見上げる
僕の体を風が透過して
銀色の夜明けを終えた
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何も特別なことはないんだ
そう思えたら
当たり前のことが霞んでいく
一秒前の君はいなくて
“大事にしてた“と
言う僕さえいなくて
子供たちは町を歩く
不思議なことを
特別なことを通りすぎて
もう大人になる頃だろう
行く手を阻む黒い靄が
ずっと晴れない
何も当たり前のことはないんだ
そう思えたら
特別なことが霞んでいく
昨日の夢がポスターになって
町中に貼られた
そんな世界を置き去りにして
僕は俯いて歩く
いつかの子供たちとすれ違い
僕は俯いて歩く
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雲が膨らんで
パンって弾けたんだ
きっと誰かがトゲを刺して
傷つけたのだろう
避けたのだろう
そうして信じるもののいなくなった
孤独の沖で
いつかの人魚が浮いている
浮いている
ああ、そうだよ
私の脳はこれ以上
現実を脚色することはできない
事象の側面に穴が開いて
みんな外へ抜けたあとに
神様はぽつんと胡座をかいて
何を思うだろうね
この現実なんてものは
付加価値でしかないんだと
私は思うよ
町中に貼られたポスターは
君を騙る
そしてまた
信じるもののいなくなった
孤独の沖で
人魚が浮いてしまうのだろう
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稲穂の揺れる小道を
手を引かれながら歩いた
君はもう忘れた
いつか抱いた心残りを
どうしてここは
変わらず今も静かに風を受けてる
思い出そうよ
君が転んだ後のことを
思い出そうよ
君が眠るまでどうしてたかを
目が覚めたときの気持ちを
橋の向こうで手を振る
涙を浮かべながら君が駆ける
だけどもう忘れた
いつか抱いた胸の熱さも
思い出せずに
変わった今を自然に受け入れてる
それなのに君はここで
立ち止まることだけ覚えて
影が遠く伸びて
思い出そうよ
君が喜んだ面影を今でも
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愛されない生き物だと笑って
あなたは去っていく
どれだけの時間が
この生き物を作ったのだろう
愛されたいからと笑いかけた
あなたが遠くなる
これからの時間が
過去を突き落として
見下げるように
愛するために生まれたんだ
あなたは胸を張る
いつかの時間が
光のように折れて
愛されるべきだと謳った
あなたの涙が
頬を伝う時間が
作り物だとしても
指折り数えて待ってる
この時間が好きなの
あなたは知らないね
ずっとね
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あの頃僕は泣き虫だったな
背も小さくてケンカも弱くて
一人で歩く帰り道がさみしくて
あの時君はどんな顔してただろう
隣同士の席は嫌じゃなかったかな
僕はヒーローみたいに
誰かを守って
君を守って
それができるほどの勇気はなかったんだ
あの頃の空は飛行機雲が
長くのびるほど広くて
首が痛くなるまで眺めて
あの日の君はどんな気持ちで
飛行機雲の先にいたんだろう
暗い教室の中に
笑い合う声
僕は眺めて
「いつか好きだと言う」くらいの勇気しかなかったんだ
あの頃の僕は泣き虫だったな
背も小さくて優しくもできなくて
それでも君は笑ってくれて
それが嬉しくって
君を守れるくらいに強くなろうと決めたんだ
飛行機雲が空を切って
遠く遠くへのびていく
首が痛くなるくらい見ていたのは
涙を堪えるためなんだろう
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今にも壊れそうな時計塔
石畳の隙間から伸びていく草
まるい空には虹が架かって
知らない鳥が飛んでいく
誰かが言っていた
「いつか見離されるから
僕らは何をやったっていい」
誰かが笑い飛ばしてた
「それが今なら何をするんだ?」
時計塔の下で祈る人
屋根の上に突き抜けた木々
大きな空には虹が架かって
月が小さく影をひそめる
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朝起きて
まだグズる僕の背中
毛布越しに蹴り飛ばす君が
誰よりも一番早く
朝焼けを見るんだって
飛ばしているんだ 君の声が
何百年ぶりだろう
楽しそうな君が
何よりも一番近く
感じられることが嬉しい!
朝起きて
けたたましい目覚まし時計
蹴り飛ばす毛布を捕まえる君が
誰よりも僕よりも早く
朝焼けを見るんだって
駆け抜けていく 君の声が
世界中どれだけ
悲しいことが溢れて
敵ばかり増えて 堪えられなくても
誰よりも一番近く
感じられることが嬉しい!
この日の空を
僕らは見つめて
手を繋ごう
飛んでいくんだ 君の声が
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深い深い谷底に
ニュアンスを敷き詰めて
私達は大きく手をふり
満足気に歩いていました
私は地の底から
あなたへの愛情を掘り起こし
掘り起こししておりますが
それはなんてことはない
エゴと呼ばれるものでした
毎夜、あなた方を殺しにかかる
不可思議な劣等感を
梢に留まる小鳥のように
大事にしていたと思います
まだ
ここに
私はいない
そのような日が
あったと確かに思います
海辺に放る瓶詰めが
私達の詩であるから
ゼロの思い入れを
空に飛ばしたいと私は願ったのです
世界は美しい
ただそれだけを大地に埋めて
私はあると誓います
「いつか君を見つめる詩編へ」
今日の星空を育てよう
毎夜、誰もなくさぬように
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今日の星空を育てよう
毎夜、誰もなくさぬように
風道の野花を連れ出そう
いつか、ここで会うために
純粋無垢な青い瞳よ
まだ、暗い道はない
燦々とそそぐ陽の赤よ
夕べ、触れたもろ手のぬくもり
「今日の星空を育てよう」
毎夜、誰もなくさぬように
いつか君が見つけるだろう
遥か、遠くの星に惑いて
たゆたう詩編の一片を