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さみだれの部屋  〜 新着順表示 〜


[815] 炎色に染まる
詩人:さみだれ [投票][編集]

私の飼っていた雀が
朝焼けに恋焦がれて
小さな羽がひとつひとつ
煤になって町に降る

混雑した回線の外で
私は頼れる人を探す
この魂がこの魂だけが
救われるように願う

一次元の上を歩く人生だから
私は他人ぶって「私」を指せない

ああそうだ
私は罪悪のもとで鳥を殺した
こんな魂のためだけに

今朝
灰色の鳥が
空を落ち始めた

2014/06/14 (Sat)

[814] どうしようもなく個であるがゆえ
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遊星小夜曲は僕の脳をリベロ化して
辻褄の合わない異端論文をこれでもかと書かせるのだから
右隣の愛するものの存在すら認識できなくても仕方ない
隣町でコムメルシは人々を楽しませる
そんな日の夜の指揮者は
二分化した大衆の境界に休符も置けず
そんな日の夜の僕は
漠然と思う未来図に音調も持たせず
低空飛行するカラスに憧れ
空気を切り裂き殺しながら飛んだ
僕の脳がリベロ化して3分後

2014/06/08 (Sun)

[813] くろ
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夢見る猫
タンスの上
マタタビ追いかけるのが楽しい
でもこの日の終わりに餌がでなくて
人間になりたいと願って眠る

全部夢のなか
戻らないつもりで
永遠にここにいられるもんだと思ってる


あれ?ここはどこだろう?
何してたんだっけ?
手足を使って首を動かしてみるけど
見たこともない部屋
知らない人がいる!
早く知らせなきゃ!
えっ、誰に?
とりあえず鳴いてみる
それが気に入ったらしい
知らない人が手を叩いて喜ぶ

なんでここにいるんだろう
誰か教えてくれよ
何度泣いたって思った通りに鳴けない

私は長い夢を見ている
そうだって信じなきゃ

2014/05/30 (Fri)

[812] シアンコール
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バイパスの橋の上で見てた
メランコリヤの情景は
夜が外套の下に隠して
あとどれくらいの命だろうかと
この日の空に問う

悲しみこそあれど
喜びを忘れちゃいない
くたびれた足を引きずった先に
あなたが手を伸ばしてくれたら
そう思う心を夕景に流して
誰かが憂いてくれたら

涙を察してくれよ
わがままにもほどがある
笑顔の裏に隠した本心を
諭すくらい
わかっていたい
わかりあっていたい

つまらない思いの丈を
聞くのも辛いことでしょうが
この手の先に願った姿が
月にも嫌われて映えることなく
世界に存在しない慈愛の生き物を
その目に僕しかうつせない
メランコリヤを

2014/05/30 (Fri)

[811] 無限の恋歌
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見る夢は朧に
あなたの言葉は空気のように
その世界に満たされて
私がかき集めた言葉も
敵わないくらいに
しなやかで優しい
それでいてとても寂しいものでした

だから私はとても不便な生き物です

空は高く遠い
しかしここからは狭い
そんな宇宙に広がる星も
この目には限られて見えて
あなたの言葉が消えるまでの響きを
かろうじて感じている今が
実は幸せなのでしょう

露を弾く草花の
遥か下に私があり
涸れた声に希望を与え
言葉を発するその先刻
あなたが微笑みを携え
私の手をとりました

この気持ちを
無限の海に浸らせ
悲しみや喜びを隔てた
核なる心に与えよう

あなたの言葉を肌に感じて

2014/05/10 (Sat)

[810] ベル
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地球最後の詩は
天を青いと表現して
あなたの心に深く深く刻み込まれ
私の前から姿を消した

未来を憂い
悲痛な現実を嘆きつつも
色とりどりの花を咲かせ
土手を歩く背

この詩の終わりにささやかな祝福を

あなたの願いや
祈りとは裏腹に
地球最後の詩は
情け容赦ない比喩の連弾

過去にすがり
幸福を履き違えるばかりでも
色とりどりの花は咲き
この日の幸せを案じているのに

人類最後の詩は
今日の足跡を美しく刻み
あなたの心を確かに幸せにする
そう決められていると信じて

その詩の終わりにささやかな祝福を

2014/05/03 (Sat)

[809] メトロポリス
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彼は意思を頑なに守った
堅牢なバリケードに囲われ
金剛鋼の鎧を纏い
黙って目を瞑りながら
人は彼を引きずり込もうと
火を投げ入れたり
罵倒を浴びせたり
かと思えば流暢に世辞を述べたりもした
しかし彼はぴくりともせず
そのうち「あいつは死んでいるんじゃないのか」と
噂されるようになった

彼は意思を頑なに守った
川の流れにも動じず
どんと居座る大岩のように

人の流れの中に籠城しなければいけない
それは何を守るためか
人と手を取り合って生きなければならない
なら振り払われた手はどうなるの
意思をもって引き金を引いたあなたは
意思なんて持っちゃいない
仲良しごっこはもうたくさんだよ
有刺鉄線の向こうで
彼は静かに涙を流す

2014/04/30 (Wed)

[808] 春の羽
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時はいたずらに
この心をくすぐる
君が涙を拭うときや
木々が枝を伸ばし
手を取り合うときや
その気持ちを知りたいと願う
優しさが見えたら

今は高らかに
この声を響かせ
君が目を伏せて逃げないように
海がどこまでも腕を広げて
包み込むように帆を上げる船
その日の喜びを続けたいと願う
優しさが見えたら

“何も無駄なことなんてなかった
君は一人じゃなかった“
心の中でも笑えるように
今は高らかに
この声を響かせ
風に放って気ままに
飛んでいくよ

2014/04/24 (Thu)

[807] .
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この詩は熱を持たない
ならば何
この詩は形を持たない
ならば何
この詩は心を持たない
だから何
この詩は死を持たない
それが何
この詩は人を選ばない
だから何
ならばこの詩はなぜここにあるの
知らないよ


2014/04/22 (Tue)

[806] クローン
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軽石みたいな言葉を投げて
水鳥を的に遊ぶあなたは
きっととても優しい人なのでしょうね
誰もが目を奪われるほど
歪な形の言葉を投げて
水鳥が傷つき沈んでいく様
とても美しい感性
洗練された匠の技
すべて茶番だというのに

クローンを作り
私は放つ
その水面に
このクローンを
あなたは何と呼ぶか
呼ばずに殺すか
誰もが目を奪われるほど
凄惨に
この茶番を作る私を
磔にし罵るか

その軽石で

2014/04/22 (Tue)
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