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さみだれの部屋  〜 新着順表示 〜


[783] トーン
詩人:さみだれ [投票][編集]

永遠に眠っていたいと思う心を死と呼ぶなら
長い夢の中にある幸せを生と呼ばなくちゃ
鈍重な弾丸がゆっくり私の頭を撃ち抜くなら
私はやっと生きていたいと思うのだろうか
長い現実の中にある苦痛を生と呼ぶのだろうか

あなたの音を聞くことがなくなり
私はもう自分の歩くべき方向が定まらなくなり
淡々と過ごす毎日に嫌気がさし
ついにはあなたのことすらどうでもよくなりつつあります

それでも眠っていたいと思うのは
長い夢の中にある一瞬の喜びを
幸せをあなたと共有したいから
あなたがいた長い夢の中で

あなたがいた長い夢の中で
輪郭を持たない月明かりが揺れ
窓に星打つ夜があれば
私は少しでも死を忘れられるだろう

2014/03/25 (Tue)

[782] あゆみ
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心の中に長い道が
学校までの長い道が
曲がり角の向こうからは
弾む会話ばかりが

今日
あなたが歩くのは
奇跡や運命とは違って
今日
あなたが歩くのは
あなたの足跡を残すため

心の中に長い道が
家までの長い道が
最後の曲がり角の向こうには
あなたを思う人ばかりが


2014/03/22 (Sat)

[781] 固定概念
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あなたが得意気に話す“当たり前“

ある国でのそれは銃を持ち人を殺すこと

ある人にとってそれは森を焼き払うこと

ある動物にとっては共食いであり

ある宗教では神を崇拝することに人生を捧げること

あなたが胸を張って話す“当たり前“

それはあなただけが見ている桃源郷に他ならない

それを私は自慢気に“当たり前“だと語ろう

皮肉と諧謔を込めて

2014/03/20 (Thu)

[780] 無題
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あなたの帰りを待つ
夕暮れのふもと
月がほほを染め
太陽を見つめる
伸びる影は手をふり
逆光の中
去っていく人
私はあなたの帰りを待つ
たとえこの夕暮れが滅んだとしても
私はあなたの帰りを待つ

2014/03/18 (Tue)

[779] 彗星人
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クェーサーの向こうに
置いてきぼりにされた
あなたの目は羨ましそうに
宇宙の内側を見つめている
私が今よりももっと
もっと遠くを見られたら
あなたと目を合わせられるのに
こんな言葉が宇宙の端まで伝われば
この気持ちが慣性を持てば
あなただって寂しくはないだろうに
1次元のあなたの心が
線となって私に触れる
私もまた同じに
この1次元の心を
今夜、彗星に預けて

2014/03/17 (Mon)

[778] わーむほーる
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彼女の時計は針を持たない
指し示す時間を与えない
彼女は長く存在している
そう思い込む暑い夜明け
彼女には何も枷がない
彼女が枷とは思ってないから
ずっと眠っていたって
誰も構いやしない
彼女の心は棘を持たない
突く相手がいないのだから
彼女はひとり存在している
そう思い込む暑い夕暮れ
彼女こそ孤独である
だが彼女はつらく思わない
ずっと起きなくたって
平気なのだろう
彼女は

2014/03/10 (Mon)

[777] 記憶物質
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人殺しがいる
窓の外に?
川の向こうに?
人殺しがいる
憎しみの塊
幽閉された四肢の主
それが語る血の色は
赤く濁るものではない
電子の海に溺れた子供が
足を掴まれ引きずり込まれる
命がなくなる
命は単純だ
簡単になくなる
命は明確だ
見えないものではない
それは輪廻の森の草花
木にはなれない
それを摘む人間が
頭の裏で足を揺すり
「人殺し…人殺し…人殺し……」
それが語る人は
とてもニンゲンとはよべないものだった

2014/03/08 (Sat)

[776] 絵本
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パタンと絵本を閉じるように
私たちの世界が終われば
“見る者“のいなくなった私たちは
どんな風に喜ぶのでしょう?
それとも悲しむのでしょうか
神を失い途方に暮れる熱心な崇拝者は
いかなる理由で暮らすのでしょうね?
神を失い神を信じた怠惰な無神論者は
どんなことをしてゴマをするのでしょうね?
悪者は安堵の息をつき
殺風景な平野に腰を据えました
勇敢な王子さまはお姫様のお尻を追って
霧の森のずうっと奥へ行ってしまいました
私たちの世界の顛末は
喜びとも悲しみともつかない
バラバラの絵本でした
次のページへ向かうためには
ただただあなたが必要なのです

2014/03/03 (Mon)

[775] 夜明けの月
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くすぐる頬の冷たさも今は
遠い地球の上に
雨となって滲みる

ここにはなにもない
豊かな町も
風の香りも
心踊るときも

梳かす髪の柔らかな音が
遠い地球の上に
琴のように響く

絶えずうたい続け
いつか言葉をなくし
後ろにはなにも待たず
寝転がるこの背には

二人は夜明けを待つ
ただ一度の夜明けを
世界の始まりと呼んで
手を繋ぎ続けた

2014/03/01 (Sat)

[774] プラネテス
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手を器に星を掬う
指の間からこぼれ落ちる
これが精一杯であると
世界は教えた
それを覆すための夢を
共感覚の中に見て
星の滴る音を聞いた
それは響きをもって私を魅了し
足のついた地面を知らせた

私はここにいる
ここにいて絶えず生きている

心は夜風にさらされ
震えるばかりではあるが
それこそが唯一絶対の答えだ
この手にほんの1滴の星が
そのための夢があれば
世界の響きを見つめていられる
そして私はここにいて
また空を仰ぎ見る

2014/02/26 (Wed)
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