詩人:さみだれ | [投票][編集] |
永遠に眠っていたいと思う心を死と呼ぶなら
長い夢の中にある幸せを生と呼ばなくちゃ
鈍重な弾丸がゆっくり私の頭を撃ち抜くなら
私はやっと生きていたいと思うのだろうか
長い現実の中にある苦痛を生と呼ぶのだろうか
あなたの音を聞くことがなくなり
私はもう自分の歩くべき方向が定まらなくなり
淡々と過ごす毎日に嫌気がさし
ついにはあなたのことすらどうでもよくなりつつあります
それでも眠っていたいと思うのは
長い夢の中にある一瞬の喜びを
幸せをあなたと共有したいから
あなたがいた長い夢の中で
あなたがいた長い夢の中で
輪郭を持たない月明かりが揺れ
窓に星打つ夜があれば
私は少しでも死を忘れられるだろう
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心の中に長い道が
学校までの長い道が
曲がり角の向こうからは
弾む会話ばかりが
今日
あなたが歩くのは
奇跡や運命とは違って
今日
あなたが歩くのは
あなたの足跡を残すため
心の中に長い道が
家までの長い道が
最後の曲がり角の向こうには
あなたを思う人ばかりが
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あなたが得意気に話す“当たり前“
ある国でのそれは銃を持ち人を殺すこと
ある人にとってそれは森を焼き払うこと
ある動物にとっては共食いであり
ある宗教では神を崇拝することに人生を捧げること
あなたが胸を張って話す“当たり前“
それはあなただけが見ている桃源郷に他ならない
それを私は自慢気に“当たり前“だと語ろう
皮肉と諧謔を込めて
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あなたの帰りを待つ
夕暮れのふもと
月がほほを染め
太陽を見つめる
伸びる影は手をふり
逆光の中
去っていく人
私はあなたの帰りを待つ
たとえこの夕暮れが滅んだとしても
私はあなたの帰りを待つ
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クェーサーの向こうに
置いてきぼりにされた
あなたの目は羨ましそうに
宇宙の内側を見つめている
私が今よりももっと
もっと遠くを見られたら
あなたと目を合わせられるのに
こんな言葉が宇宙の端まで伝われば
この気持ちが慣性を持てば
あなただって寂しくはないだろうに
1次元のあなたの心が
線となって私に触れる
私もまた同じに
この1次元の心を
今夜、彗星に預けて
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彼女の時計は針を持たない
指し示す時間を与えない
彼女は長く存在している
そう思い込む暑い夜明け
彼女には何も枷がない
彼女が枷とは思ってないから
ずっと眠っていたって
誰も構いやしない
彼女の心は棘を持たない
突く相手がいないのだから
彼女はひとり存在している
そう思い込む暑い夕暮れ
彼女こそ孤独である
だが彼女はつらく思わない
ずっと起きなくたって
平気なのだろう
彼女は
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人殺しがいる
窓の外に?
川の向こうに?
人殺しがいる
憎しみの塊
幽閉された四肢の主
それが語る血の色は
赤く濁るものではない
電子の海に溺れた子供が
足を掴まれ引きずり込まれる
命がなくなる
命は単純だ
簡単になくなる
命は明確だ
見えないものではない
それは輪廻の森の草花
木にはなれない
それを摘む人間が
頭の裏で足を揺すり
「人殺し…人殺し…人殺し……」
それが語る人は
とてもニンゲンとはよべないものだった
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パタンと絵本を閉じるように
私たちの世界が終われば
“見る者“のいなくなった私たちは
どんな風に喜ぶのでしょう?
それとも悲しむのでしょうか
神を失い途方に暮れる熱心な崇拝者は
いかなる理由で暮らすのでしょうね?
神を失い神を信じた怠惰な無神論者は
どんなことをしてゴマをするのでしょうね?
悪者は安堵の息をつき
殺風景な平野に腰を据えました
勇敢な王子さまはお姫様のお尻を追って
霧の森のずうっと奥へ行ってしまいました
私たちの世界の顛末は
喜びとも悲しみともつかない
バラバラの絵本でした
次のページへ向かうためには
ただただあなたが必要なのです
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くすぐる頬の冷たさも今は
遠い地球の上に
雨となって滲みる
ここにはなにもない
豊かな町も
風の香りも
心踊るときも
梳かす髪の柔らかな音が
遠い地球の上に
琴のように響く
絶えずうたい続け
いつか言葉をなくし
後ろにはなにも待たず
寝転がるこの背には
二人は夜明けを待つ
ただ一度の夜明けを
世界の始まりと呼んで
手を繋ぎ続けた
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手を器に星を掬う
指の間からこぼれ落ちる
これが精一杯であると
世界は教えた
それを覆すための夢を
共感覚の中に見て
星の滴る音を聞いた
それは響きをもって私を魅了し
足のついた地面を知らせた
私はここにいる
ここにいて絶えず生きている
心は夜風にさらされ
震えるばかりではあるが
それこそが唯一絶対の答えだ
この手にほんの1滴の星が
そのための夢があれば
世界の響きを見つめていられる
そして私はここにいて
また空を仰ぎ見る