詩人:さみだれ | [投票][編集] |
地球の尾っぽの先
スピカのずっと向こう
思い出になった光が隠れて
今、ゆっくり眠った
君の膝で寝息をたてる
彼はまだ知らない
交わる自分のもうひとつの
輝く姿を
この星のクオリアを
君が持てたなら
どこよりも優しい星になって
争いもなくなる
この星のクオリアを
私が持てたなら
君ほど優しくないにせよ
争いだけはなくそう
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さんざめく新緑の葉に
見果てぬ夢を知る
やがて訪れる静寂に
あなたは目を閉じて歌う
ささやかな祝福を
心からの喜びを
満たされぬことを知らないまま
生きる悲しみを
夢から飛び起きて
小径を歩けば
涼やかに揺れる青と
あなたの寝顔が背に添う
それは春の陽光に似て穏やかに
淑やかに微笑んで
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森の中を無邪気に走り回る
鈴の音を転がしながら
不景気を嘆く大人は振り向かない
人を呪う罪人も
日常に支配された凡人も
ただ子供たちだけは鬼を怖がり
帰路を探しているけれど
あの子は妖精だ
人を怖がっている
いつも木陰に隠れて
木の実を割ったり
虫を観察したりしてる
なにも悪いことじゃない
ただ多数決で決まったから
あの子を矯正させようと
周りの人たちは躍起になったり
迫害したり
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たぶんわたしの望む世界はすごく退屈で
ギザギザしたものがないと思う
なだらかに地平を這う
真っ直ぐ進む変わったヘビ
それがわたしの正体でもあるのでしょう
私が人間に生まれたこと
神様は嫌がっている
髭をポリポリ掻きながら
つまらない世界を否定して
たぶんわたしの望む世界は生まれない
刺し貫かれた優しさに満ちている
重力を無視することは
必然的に他者を傷つけることになる
なぜならば
わたしの望む世界は生まれないから
行き先のわからないバスは怖いけど
わかるバスはどこか退屈だ
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くるくる回っているから
どこにも行けないね
毎日同じ空を眺めて
生きなきゃいけないね
このままふたり彗星になれたら
きっと素敵にちがいない
青い尾をうんと長く
願いが叶うようにと
私はちっぽけなヒト
重力すらもたない
有機物の塊だ
ひとりきりのデブリとなって
気が付けば燃え尽きてしまうのだろう
この星の手に捕らえられて
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薄っぺらい優しさを
諸手を挙げて掲げる
足元がないことを知らずに
そうしていれば愛される?
そうしなければもう愛されない
純粋無垢ではいられないもの
かわいそうにね
我を持たない人間なんて
機械的で気持ちが悪い
あらかじめ与えられたプログラムなんて
茶番でしかないのに
それを嬉々として見せびらかす
博愛主義者の仮面
目の色がよく見える
あなたが進展を好機を求めるなら
いますぐに死んでください
来世に期待しながら
幸せだったと誤魔化しながら!
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私はどれほど強くなっただろう
あなたがひたむきに歩くのを見て
星ほどの距離を感じる
「羽があれば」とか
「星になれたら」とか
絵空事を思い
私は歩いた
答えがなくなり気は沈むだろう
それでも道を作るあなたを
星ひとつ分の光が促す
どこにでも行けるように
私は弱いちっぽけなものだ
言葉もろくに出てこない
星ほどの輝きを内に宿せど
あなたひとり見つけられない
それでも私は歩くだろう
ただ歩き続けるだけだとしても
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早起きの金星
雲の中に
七色の夕暮れ
その二色目に寝転び
わたしの背には
暗がりが見えますが
月が煌めき見下ろしますが
この世界の先は
終端はどちらにもありません
ただ綻びを指すならば
七色の境界
まだ定めを知らない自由な川よ
空だけが繋がらない
この星の意地悪は
わたしの目にも悪戯をする
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春の野を思え
風に揺れる新芽を
その胸には
花があると思え
希望ほど優しくケチな奴はいない
心がむくんでしまえば
起きるのが嫌になるから
絶望は鬼の面を着けて歩きはしない
春の野を吹く風に
何食わぬ顔で紛れているのだから