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さみだれの部屋  〜 新着順表示 〜


[602] 鼓動なき夜
詩人:さみだれ [投票][編集]

この訳のわからない感覚
ないんだ
知識が記憶が
帰りたい
原初の海へ

何も持たない無垢な日へ

廃人のように
天井を睨み付けたまま
あなたを思う毎日
かけがえのない日々など
報われなければただの時間

言葉が足りない
詩を書くものにとって死に等しいそれは
少年のように
見るものすべてに息をあたえていた時を
懐かしむ走馬灯

今一度
土に還り
この星の細胞となり

とぐろを巻いた蛇

知恵の実の甘さ

私を愛してやまない人が

一人いてくれれば
私は人間になれる

そして今は
ただ溶けたい

生命のスープ
その記憶の中に

2012/11/08 (Thu)

[601] 人間最後の日
詩人:さみだれ [投票][編集]

木漏れ日の中
楽しそうに僕の名前を呼ぶ
そんな姿を見ることもないだろう

波打ち際でじゃれる
君の足跡を
さらう海も来ることはないだろう

できれば同じチャイムを聞いて
同じ時間に帰りたい
君が走り出す夕暮れに

僕が透明なのは
君がいないから

月の明るい夜に
確かめるように手を繋ぐ
その安らぎも感じることはないだろう

2012/11/07 (Wed)

[600] 兆し
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部屋には
すきま風が入り
その匂いは
寒さよりも
もの悲しい
きっとそいつは
泣いている
なぜかは知らない

韻律をなくし
手足を縛ったふりで
本当は
本当は楽をしたい
それだけだろう

お前は悪魔だ
化け物が流暢に言葉を話し
それを自慢する

ああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああ
ああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああ

鏡のくせに
はらはら涙を流す
なんなんだ
今にしぬわけでもなかろう
だが涙は流れる
ならばもう
なきしんでしまえ
それでいいなら

2012/11/06 (Tue)

[599] 青白い星の夜に
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ああ
いつになれば
私はあの青白い星の夜に
帰ることができるだろうか
生きてさえいれば
そう思い生きてきたものの
私は耐えられなくなる

いつからが夢で
どこまでも現実だ

優しく光るのは
目によろしくない
暗闇になれてきたから
こうやってじゃれあうよ
後味の悪い 風景

ああ
いつになれば
私のこの腐った心が
水にとけて
あなたの清い心が
沁みいてくるのだろう
何ものにも劣らない
唯一の価値
そんなあなた

くだらない妄言にも
解釈のできない感情にも
私の詩は属さない
唯一あるのは
夢への回帰

焦土と化した
私が魂
誰がために
こうなったのか
どんな工合に
こうなったのか

ああ
私はあの青白い星の夜に
詰められてしまった
あなたの心などはよそに
あなたを欲したがために


2012/11/04 (Sun)

[598] ムーンウォークの躍り方
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形あるものがすべてだ
手に触れられないものは"ない"と言う
あなたは大人の人
そのリアリズムが殺したあなたを
誇らしいと彼らは言う
希望がいつでも遠いところにいたから

月面歩行
もう忘れたなら
思い出してよ
旅立った希望を
あなたが探しにいくの
それはきっと
忘れちゃいけないものだから

2012/10/29 (Mon)

[597] satisfaction
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私は私を満足させることができない
あなたは毎晩、楽しい夢を見て
悦した顔で目覚めるんだ!
その隣のやつも!

その隣のやつも!

その隣の奴までもが!



私は頭のなかに『僕』を飼っている
毎日そいつに餌を与え
くだらない遊びをさせては
満足させている
ああ、頭のなかにもう一人『俺』がいる!
なんてことだ!
そいつは私の柔らかい脳を
トランポリンのように跳ね回って!
かと思いきや目を盗んで、眠ったり
耳を盗んで、音楽を聴いたり
私は私を満足させることができないのに
僕は満足している
俺はすごく満足している
あなただってそうだ!
その隣のやつも!

その隣のやつも!

その隣の奴までもが!


2012/10/29 (Mon)

[596] 原初の気持ち
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原初生命は
酸素を知ったとき
どんな夢を見ただろう
私たちの種まで
そのときの喜びや希望が
遺されているのか
人間ではない
生命の感情が

彗星の欠片から生まれた子供たち
あらゆる可能性を見てなお
この星に来てくれた子供たち
君たちにもある
原初の気持ちが

2012/10/25 (Thu)

[595] 秋の三日月
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あなたに羽があるのなら
飛び立つ日には見送ろう
あなたが精一杯羽ばたいて
風になったそのときは
明るくあなたを照らそう

あなたはきらきらと輝いて
夜も昼も同じくらいに
あなたは心穏やかに
ひとりのときもふたりのときも
あなたがそばにいるというなら
明るくあなたを照らしていよう
熱を持たない温かさで
私はそこにいよう

2012/10/19 (Fri)

[594] 私の詩の海で
詩人:さみだれ [投票][編集]

歌うもののいなくなった
私の詩の海
浜辺に立つ恋人
黄昏と舞うもふらつく
ああ…
静かな時間
我が身の存在すら危ういほど

アルペジオ
彼は上手だった
観客は惜しみない拍手
震えたよ
けれど彼の指は
二度と動かない
彼を憎んだ誰かが
アルペジオを奪った

そうして
歌うもののいなくなった
私の詩の海
人魚は呼吸の仕方を忘れ
みな息絶えた
残されたものは
奥深くへ
みな喪服を着た

社会は
あらゆるものが複雑に
わからないことばかりで
生きていくのに十分なものを
思い出せなくて

そうして
歌うもののいなくなった
私の詩の海
血が潮と混ざり
プランクトンに食べられ
やがて
浜辺に着く頃
欠けたその血を
読んでほしい
歌うもののいなくなった
私の詩の海で


2012/10/17 (Wed)

[593] 最底
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閑静な住宅街
化け物は神様を気取り
滑り台のてっぺん
屋根の上
いちょうの木
手を伸ばし
空に深い深い穴を掘って
それは財布に空いた穴
それは心の溝
それは星〃の隙間

ハァ…

化け物は神様を気取り
孤独を装った

バカバカシイ

不明瞭な光に弱く
何にもない闇に溶けた
深い深い穴を掘って
底に耳をあてて
胎動を感じ
躍動を羨み
希望に身を預けた

ハァ…







モウ ソラガ アンナニ トオクニ




2012/10/14 (Sun)
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