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さみだれの部屋  〜 新着順表示 〜


[573] 詩世界
詩人:さみだれ [投票][編集]



才能がない

ただそれだけ

たったそれだけ




2012/08/23 (Thu)

[572] 素敵詩的ショー
詩人:さみだれ [投票][編集]

カラカラカラカラ笑う
ああ、そうだ。君たちだ。
君たちは何か嬉しいことがあるとよくそうする。
カラカラ、カラカラ
赤子をあやす、あれだ。
あれが君たちだ。
立派な役割だよ。

シクシクシクシク泣く
君たちときたらいつもそうだ。
他人の不幸を自分のことのように見せる。
シクシク、シクシク
トイレを磨く、あれだ。
あれが君たちだ。
立派な名分だよ。

君たちの手は生暖かい。
どれほどの人の痛みや血を見たのだろう。
君たちの手は信じるに足りない。
すがりついた人を振り払ってきたのだろう。
君たちの手は綺麗なものだ。
汚いものから逃げ続けてきたのだろう。
そうやって今ここにいて、救いを求めている。
君たちはおよそ人間。

2012/08/23 (Thu)

[571] 詩法
詩人:さみだれ [投票][編集]

魂の有無など必要ではありません
ましてや韻律などとは無縁でいいのです
他人のためなど考えずに自分の情をばらまいていれば
成立するのです
難しいことは放っておいて
恋なら恋しいものを具体的に
人生ならそれらしい建前を
生死なら憂いをもたせ
楽しいならふざければいいのです
魂の有無など問われてはいません
接続詞だけて十分です
比喩などどうでもいいのです
放っておけば成立するのです
誰がために?
我がために
心象風景を、ありったけ詰めます

2012/08/23 (Thu)

[570] 忘れた詩編
詩人:さみだれ [投票][編集]

野に咲く花の名を知らず
"露とて涙になりうる"と
通りすがりの綿毛の行方
その孤高に誇りを見出だす
誰より高くあろうとし
"鳥とて空になりうる"と
しゃれこうべが土の中
半分目をだしえへらへら
とかくこれは忘れよう
忘れた詩編と題します

私が八つばかりの頃
青い恋をしたのだが
それは盲目愛にはならず
知らぬ間に幕は下りて終う
風下は咳するものと
子供だけがコトリと置かれ
風上はなんとまあ
すんばらしい人ばかり!
はて、目地はどこにあるかしら
詰めはしないさ、詰めれはしまい

物言う鳥の喉を裂き
聞いてもらおう世間の痴情!
頷かなければ篭から出さぬ
出しても飛べる空などない
逆さに反せば言葉は出ようが
出たらば腹を裂いてやろう

とかくこれは忘れよう
忘れた詩編と題します

2012/08/20 (Mon)

[569] 君が人でないなら
詩人:さみだれ [投票][編集]

君が人でないなら
犬のように吠えるがいい

安定した思考だ
悩まなくてすむ

太陽が丸一日沈まなくとも
君が気にすることはない

君が人でないなら
何にもできやしないさ

楽しい毎日に
心躍る余裕

海が血に染まろうとも
君は傷ひとつない

愛されている錯覚
愛しているだけの言葉

君が人でないなら
永遠に得られはしない

だって君は嘘に飼われ
嘘に諂う犬だから

わんわん♪

2012/08/18 (Sat)

[568] 怪獣
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ギャアアアアア!!
と鳴いた
口から火が出る
足元の生き物たちは
肩を寄せ合い震える
巨大な爪がビルを引っ掻く
邪魔な尻尾が山を削る
子供たちは親に抱かれ
泣きながらもヒーローを呼んだ
そんなものは、いない
ギャアアアアア!!
と鳴いた
自衛隊のミサイルが肌に触れる
気持ちが悪い
口から火を吐いた
オイルに引火して自衛隊は落ちる
死に際に彼らはヒーローを呼んだ
そんなものは、いない
ペチャンコの車
倒壊した家屋
電線は火花を散らし
ひとがたくさん死んだ
世界中で名前をつけられ
みんな来ないことを願った
ギャアアアアア!!
と鳴く
勇気ある男の子は太い足を蹴った
泣くことをやめた女の子は噛みついた
巨大な爪がヘリを叩き
邪魔な尻尾が道路を裂いた
みんなヒーローを呼んだ
そんなものは、いない
みんな生きたいと願った
そんなものは、知らない
ギャアアアアア!!
と鳴いた
口から火が出ても
鳴き続けた

2012/08/17 (Fri)

[567] 幽霊
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幽霊は部屋のなかに
手を組み願ってばかり
君の向こう側に
窓があって夕暮れがある

幽霊は言葉を持たない
手を組み願ってばかり
君のとなり溶け合い
涙をもらって笑ってやる

幽霊は誰も愛さない
手を組み願ってばかり
君の手を包み込み
僕も同じこと願ってみる
けれど
幽霊は教えてくれない
その向こう側に
夜が落っこちるだけ
窓があって夜が落っこちるだけ

2012/08/17 (Fri)

[566] 墜落
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あなたのお腹には鉛の塊が入ってる
それはね
あなたがプールにばかり行って宿題をしないから
神様はちゃんと見てるよ
あなたが溺れて沈んで来世への希望を考えているところ
その逆を選んで笑ってやろうと

あなたは卵から生まれない
体内には宿らない
あなたは外に放り出され
そこから延々と許しを請うだけ
空中、地中、水中
あなたは長く生きられず
神様に祈る時間すらない
ただ許しを請うだけで終わる
その繰り返し

あなたのお腹には鉛の塊が入ってる
あなたはその運命には抗えない
あなたはプールにばかり行く
死ぬとわかっていながら
神様はちゃんと見てるよ
宿題はまだ半分も終わっちゃいない
だからあなたは沈む
そして空の中に放り込まれ
あなたはただひたすらに許しを請う
誰に?
おかあさん、おとうさん
だよ

2012/08/15 (Wed)

[565] 月に吠えろ!
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山の狼は
月に毎日話しかけます
狩りに失敗したことや
仲間と喧嘩したことや
山の狼は
月に毎日耳をたてます
何か答えてくれないか
いつ答えてくれても聞き逃さぬよう
山の狼は
どんな夜にも月と会いました

月は日に日に痩せこけて
自分がいつか死ぬんじゃないかと怖くなりました
それでも下を見れば
木々が風に揺れ
川はきらきらと瞬き
月は楽しくて
死ぬなんて考えていたことを忘れてしまいました
しかしとうとう月は細く痩せこけ
糸ほどになってからは
すうーと消えてしまいました

山の狼は
月を一生懸命探しました
一晩中山から山へと駆けていき
川を飛び越え海まで来ました
山の狼は
それからたくさん泣きました
太陽が昇って沈んでも
わんわん涙を流しました

月は自分が死んだと思いました
けれど星がさらさら囁くのも
太陽がぎらぎら歩いているのもわかりました
月は自分がまだ生きてるんだと思いました
それから目を凝らして
耳をすませて
ようやく糸ほどに光だしました

山の狼は
目を腫らしていました
声もがらがらになって
足はがくがく震えて立てませんでした
山の狼は
月を探しました
ゆらゆらした視界に糸のようなものがありました
それが月だと気づくや否や
山の狼は
月に話しかけました
月はにこりと笑ったような
そんな気がしたのでした

2012/08/13 (Mon)

[564] 神様万歳
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君が神様だったら
この世界は安心ですね
怖いものは宇宙の果てまで追っ払って
優しい人をたくさん作るでしょうね
ひとは喜びだけを見て
未来永劫幸せですね
君が神様だったら
痛い思いはしないのにね
悪魔だろうがなんだろうが
消してしまえばいいからね

でも君は神様じゃないんだよね
怖いものが宇宙まで溢れて
優しい人もたくさんは作れないでしょうね
ひとは喜びの尊さを知り
一瞬の幸せに涙しますね
君が神様じゃないから
痛い思いも糧にできるよ
悪魔だろうがなんだろうが
幸せへの行程にすぎないんだからね

2012/08/11 (Sat)
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