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さみだれの部屋  〜 新着順表示 〜


[575] Moon age
詩人:さみだれ [投票][編集]

今夜は月が綺麗なので
私は旅に出ようと思う。
西へ西へと歩いたならば
日に焼ける心配もない。
私が旅に出た夜に
帰ってきてとせがむ者なし。
私は眼前に広がる夜のベールを
剥がして纏い歩き出すのみ。
血のない価値を見出だすことも
心通わせうち震えることも
この夜のうちは息を潜め
足音殺して旅に出る。
濁音のない月よ
陰りを知る月よ
私たちの身の程を痛々しくも示してくださる。
私たちは知識や情よりも先に
尊いものを見つけるべきだったのだ!
夜のベールを剥がせ
つれないコンダクターと離別し
旅に出る支度を。
月がよく見える方へ
私は旅に出ようと思う。

2012/08/30 (Thu)

[574] 地球の核には胎児がいて
詩人:さみだれ [投票][編集]


その心臓は波をつくり

その息遣いは風となる

その手は山をつくり

その空虚は雲になる

その純粋は空をつくり

その心が私たちとなる

その寂しさが魚になり

その夢は鳥となる

その悲しさが犬猫になり

その希望が種となる



2012/08/28 (Tue)

[573] 詩世界
詩人:さみだれ [投票][編集]



才能がない

ただそれだけ

たったそれだけ




2012/08/23 (Thu)

[572] 素敵詩的ショー
詩人:さみだれ [投票][編集]

カラカラカラカラ笑う
ああ、そうだ。君たちだ。
君たちは何か嬉しいことがあるとよくそうする。
カラカラ、カラカラ
赤子をあやす、あれだ。
あれが君たちだ。
立派な役割だよ。

シクシクシクシク泣く
君たちときたらいつもそうだ。
他人の不幸を自分のことのように見せる。
シクシク、シクシク
トイレを磨く、あれだ。
あれが君たちだ。
立派な名分だよ。

君たちの手は生暖かい。
どれほどの人の痛みや血を見たのだろう。
君たちの手は信じるに足りない。
すがりついた人を振り払ってきたのだろう。
君たちの手は綺麗なものだ。
汚いものから逃げ続けてきたのだろう。
そうやって今ここにいて、救いを求めている。
君たちはおよそ人間。

2012/08/23 (Thu)

[571] 詩法
詩人:さみだれ [投票][編集]

魂の有無など必要ではありません
ましてや韻律などとは無縁でいいのです
他人のためなど考えずに自分の情をばらまいていれば
成立するのです
難しいことは放っておいて
恋なら恋しいものを具体的に
人生ならそれらしい建前を
生死なら憂いをもたせ
楽しいならふざければいいのです
魂の有無など問われてはいません
接続詞だけて十分です
比喩などどうでもいいのです
放っておけば成立するのです
誰がために?
我がために
心象風景を、ありったけ詰めます

2012/08/23 (Thu)

[570] 忘れた詩編
詩人:さみだれ [投票][編集]

野に咲く花の名を知らず
"露とて涙になりうる"と
通りすがりの綿毛の行方
その孤高に誇りを見出だす
誰より高くあろうとし
"鳥とて空になりうる"と
しゃれこうべが土の中
半分目をだしえへらへら
とかくこれは忘れよう
忘れた詩編と題します

私が八つばかりの頃
青い恋をしたのだが
それは盲目愛にはならず
知らぬ間に幕は下りて終う
風下は咳するものと
子供だけがコトリと置かれ
風上はなんとまあ
すんばらしい人ばかり!
はて、目地はどこにあるかしら
詰めはしないさ、詰めれはしまい

物言う鳥の喉を裂き
聞いてもらおう世間の痴情!
頷かなければ篭から出さぬ
出しても飛べる空などない
逆さに反せば言葉は出ようが
出たらば腹を裂いてやろう

とかくこれは忘れよう
忘れた詩編と題します

2012/08/20 (Mon)

[569] 君が人でないなら
詩人:さみだれ [投票][編集]

君が人でないなら
犬のように吠えるがいい

安定した思考だ
悩まなくてすむ

太陽が丸一日沈まなくとも
君が気にすることはない

君が人でないなら
何にもできやしないさ

楽しい毎日に
心躍る余裕

海が血に染まろうとも
君は傷ひとつない

愛されている錯覚
愛しているだけの言葉

君が人でないなら
永遠に得られはしない

だって君は嘘に飼われ
嘘に諂う犬だから

わんわん♪

2012/08/18 (Sat)

[568] 怪獣
詩人:さみだれ [投票][編集]

ギャアアアアア!!
と鳴いた
口から火が出る
足元の生き物たちは
肩を寄せ合い震える
巨大な爪がビルを引っ掻く
邪魔な尻尾が山を削る
子供たちは親に抱かれ
泣きながらもヒーローを呼んだ
そんなものは、いない
ギャアアアアア!!
と鳴いた
自衛隊のミサイルが肌に触れる
気持ちが悪い
口から火を吐いた
オイルに引火して自衛隊は落ちる
死に際に彼らはヒーローを呼んだ
そんなものは、いない
ペチャンコの車
倒壊した家屋
電線は火花を散らし
ひとがたくさん死んだ
世界中で名前をつけられ
みんな来ないことを願った
ギャアアアアア!!
と鳴く
勇気ある男の子は太い足を蹴った
泣くことをやめた女の子は噛みついた
巨大な爪がヘリを叩き
邪魔な尻尾が道路を裂いた
みんなヒーローを呼んだ
そんなものは、いない
みんな生きたいと願った
そんなものは、知らない
ギャアアアアア!!
と鳴いた
口から火が出ても
鳴き続けた

2012/08/17 (Fri)

[567] 幽霊
詩人:さみだれ [投票][編集]

幽霊は部屋のなかに
手を組み願ってばかり
君の向こう側に
窓があって夕暮れがある

幽霊は言葉を持たない
手を組み願ってばかり
君のとなり溶け合い
涙をもらって笑ってやる

幽霊は誰も愛さない
手を組み願ってばかり
君の手を包み込み
僕も同じこと願ってみる
けれど
幽霊は教えてくれない
その向こう側に
夜が落っこちるだけ
窓があって夜が落っこちるだけ

2012/08/17 (Fri)

[566] 墜落
詩人:さみだれ [投票][編集]

あなたのお腹には鉛の塊が入ってる
それはね
あなたがプールにばかり行って宿題をしないから
神様はちゃんと見てるよ
あなたが溺れて沈んで来世への希望を考えているところ
その逆を選んで笑ってやろうと

あなたは卵から生まれない
体内には宿らない
あなたは外に放り出され
そこから延々と許しを請うだけ
空中、地中、水中
あなたは長く生きられず
神様に祈る時間すらない
ただ許しを請うだけで終わる
その繰り返し

あなたのお腹には鉛の塊が入ってる
あなたはその運命には抗えない
あなたはプールにばかり行く
死ぬとわかっていながら
神様はちゃんと見てるよ
宿題はまだ半分も終わっちゃいない
だからあなたは沈む
そして空の中に放り込まれ
あなたはただひたすらに許しを請う
誰に?
おかあさん、おとうさん
だよ

2012/08/15 (Wed)
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