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さみだれの部屋  〜 新着順表示 〜


[565] 月に吠えろ!
詩人:さみだれ [投票][編集]

山の狼は
月に毎日話しかけます
狩りに失敗したことや
仲間と喧嘩したことや
山の狼は
月に毎日耳をたてます
何か答えてくれないか
いつ答えてくれても聞き逃さぬよう
山の狼は
どんな夜にも月と会いました

月は日に日に痩せこけて
自分がいつか死ぬんじゃないかと怖くなりました
それでも下を見れば
木々が風に揺れ
川はきらきらと瞬き
月は楽しくて
死ぬなんて考えていたことを忘れてしまいました
しかしとうとう月は細く痩せこけ
糸ほどになってからは
すうーと消えてしまいました

山の狼は
月を一生懸命探しました
一晩中山から山へと駆けていき
川を飛び越え海まで来ました
山の狼は
それからたくさん泣きました
太陽が昇って沈んでも
わんわん涙を流しました

月は自分が死んだと思いました
けれど星がさらさら囁くのも
太陽がぎらぎら歩いているのもわかりました
月は自分がまだ生きてるんだと思いました
それから目を凝らして
耳をすませて
ようやく糸ほどに光だしました

山の狼は
目を腫らしていました
声もがらがらになって
足はがくがく震えて立てませんでした
山の狼は
月を探しました
ゆらゆらした視界に糸のようなものがありました
それが月だと気づくや否や
山の狼は
月に話しかけました
月はにこりと笑ったような
そんな気がしたのでした

2012/08/13 (Mon)

[564] 神様万歳
詩人:さみだれ [投票][編集]

君が神様だったら
この世界は安心ですね
怖いものは宇宙の果てまで追っ払って
優しい人をたくさん作るでしょうね
ひとは喜びだけを見て
未来永劫幸せですね
君が神様だったら
痛い思いはしないのにね
悪魔だろうがなんだろうが
消してしまえばいいからね

でも君は神様じゃないんだよね
怖いものが宇宙まで溢れて
優しい人もたくさんは作れないでしょうね
ひとは喜びの尊さを知り
一瞬の幸せに涙しますね
君が神様じゃないから
痛い思いも糧にできるよ
悪魔だろうがなんだろうが
幸せへの行程にすぎないんだからね

2012/08/11 (Sat)

[563] 日課
詩人:さみだれ [投票][編集]

水をやることでしか
自分の優しさを実感できない
こいつらは水を与えなければ死んでしまう
もし水をやるのを止めたら
私は重罪人となって
死ぬまでの間十字架を握らされて
隣近所に蔑まれ
暗い穴蔵に押しやられ
日を見ることなく目は退化して

そうだ
水をやるのをやめてはいけない
やり続けなければならない
私はこいつらを生かさなければならない
そうすることで私は自身の優しさを知り
そうすることで私はこいつらに優しくでき
ああ、そうだ
私は純潔でなければならない
そうでなければ生きていけない
誰も生きることを認めてはくれない
水をやれ
水をやれ!
濁りない水をやれ
己が水をやれ
水を与えなければ死んでしまう
水を与えなければ死んでしまう 私は
水を与えなければ死んでしまう
水を与えなければ死んでしまう!

2012/08/10 (Fri)

[562] 月光
詩人:さみだれ [投票][編集]

私は月光
月光になります
昼には生きられない
だって太陽は天使に似て
私にはあまりにも遠いのです
手に取るものが星しかないので
私は月光です
触れられるものが星しかないのです!
冷めた心はあなたの眠る間に
私は月光となり
あなたを夜毎救うものです
太陽よ!
この世の楽園を象るなら
私は地獄を見せましょう
私は月光
月光となり
悪魔と共にあろう
私は月光です
星を掬うものです!

2012/08/10 (Fri)

[561] 終わる詩
詩人:さみだれ [投票][編集]

続きのない子
ビデオの中で
何度も再生してる
それが好きなんだ
言葉はいつでも
届いちゃくれない
続きはまたね
また今度にしよう

寄り添う彼女
不鮮明な感覚
顔をのぞけば
いなくなるような
言葉はいつでも
届いちゃくれない
いつかはちゃんと
そのときはきっとね

弾けるシャボン
夢は終わりだよ
あとは渇いて
忘れて生きて
言葉はいつでも
届いちゃくれない
次はまだだよ
まだ始まらないよ



2012/08/09 (Thu)

[560] 神様の城
詩人:さみだれ [投票][編集]

君たち気づいてない
死んだ魚の目
ギョロりと動いて
焼かれるのを待ってる

君たち気づいてない
昨日の若葉が
風にふわりと揺れ
踏み潰されたこと

僕たちはみんな
ミニチュアの小人さ
神様が覗いてる
景色の目をして

君たち気づいてない
子供たちの声
嘘に彩られ
飾っているのを

君たち気づいてない
空の青さが
心のままに
移りゆくこと

僕たちはみんな
籠の中の鳥さ
神様が覗いてる
部屋の壁の模様
それが瞳さ
覗きこんでる
僕たちはみんな
覗かれている



2012/08/07 (Tue)

[559] 人生
詩人:さみだれ [投票][編集]

見なよ
過去が笑ってる
つまらない人生を仕立てた君を
指さして笑ってる
後悔しています
そう決めつけてしまえよ
君がバカにした明日が
精一杯泳いでくるよ
沈んだり浮いたりしていた君の明日がさ

楽しいねぇ
笑うことしかできないって
君の悩みなんて
世界の終わりに比べればちっちゃなもんだよ
楽しいねぇ
笑うことしか知らないんだ
他にはなんにも持ち合わせちゃいないもんね
人生って楽しいねぇ

アハハハハハハハ

2012/08/06 (Mon)

[558] 生き様
詩人:さみだれ [投票][編集]

生きることを素晴らしいと感じるために
彼女は死んだ

彼女が死んで
私は生きることを素晴らしいと感じるようになった

死に臆することなく生きた
そして私が死ぬことで誰かが生きることを素晴らしいと感じるなら
私は死ぬときまで生きていようと思う
彼女がそうしたように
私もまた

2012/08/05 (Sun)

[557] 馬鹿なひと
詩人:さみだれ [投票][編集]

誉めなきゃならない理由もないでしょ
誉めて良くなるものなら
あなたはとっくに良くなってるわ
けれどもちっとも良くならないもの
ただ場を占めているだけね
どうすればあなたは良くなるの
変わらずにいたいというほど良いわけではないのに
なぜあなたは変わらないの
あなたの心がわからないわ

あなたってばもしかして
それほど真摯ではないの
気まぐれにそこにいて
良くないくせに気取っているの
あなたはそれが恥ずかしいことだと
嘆いたりはしないのね
人間という感情すら
なくしているとご存じ
良くならないあなたのそれ
もういい加減飽きたわ

2012/08/03 (Fri)

[556] 欠伸
詩人:さみだれ [投票][編集]

詩書くのも疲れてきた
哲学思考もないしね
それにしても月がきれいですね
正直うっとうしい
眩しくて眠れません
明日も仕事だってのに
嫌になるねまったくもう
こんなきれいな月明かりのもと
死んでいく人がいるんだから
可笑しな話だよ
こっちはその月をぶっ壊してやりたいよ
実際壊れたら生きていけなくなるんだけどね
宇宙的にヤバイらしい
今頃どっかの公園で恋人たちが青姦してんだろうな
誰かが殺してくれることを願おう
なんかいい感じに眠たくなってきた
寝よう
おやすみなさい

2012/08/02 (Thu)
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