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さみだれの部屋  〜 新着順表示 〜


[435] フラスコの中の言葉たち
詩人:さみだれ [投票][編集]

詩は鳥のように
電線の上で鳴いている
かと思えば海のように
深い愛情を浜辺へ
行き交う人には
景色でしかないそれも
私たちには大切な言葉だ
ときに詩は心を解せず
へそを曲げて去ってしまうだろう
ときに詩は土くれと化し
神様のおもちゃにされてしまうだろう
それでも人は
いばらの先を求め
私たちは心躍る日々を夢見て

詩は誰かの中に
止まり木を見つけたようだ
そして詩はさらっていったよ
私たちにはそれがわかるだろう

2012/03/26 (Mon)

[434] モノローグ
詩人:さみだれ [投票][編集]

そこで頬杖ついているあなた
あなたは何かをすべきであるのにそれがわからない
頭の中で都合よくわからなくしている
嘘をついた自分を見破らなければならない
時間は永遠ではないのだから
あなたはできることからするんだ

仮面をつけた人に惑わされてはならない
そこに居場所を見いだしてはならない
それはあなたを堕落させ
それは鳥たちに与える餌になる
真に身を寄せるべきなのは
いつだって傍らにあるものだ
探し物が苦手なあなたには難しいかもしれないが

さあ、時間だ
火の番は私に任せて
あなたはもう寝なさい
そのカウチでは首を痛めるよ
さあ
おやすみのキスを


2012/03/25 (Sun)

[433] 落日のファンタズマゴリー
詩人:さみだれ [投票][編集]



夕焼けをバックに

神木の根元

眠る人の姿が

辺り一面に散ったはずの

エンディングが

音もなく連れ添う

三毛猫が

すべて忘れられないと

嘆いているから

時間だ

もうすぐみんな

離ればなれ

そこから

いち

に の

さん

遠くまでは

響かないだろう

明日には

まだ早いのに

気持ちはまだ

遊んでるのに

もうここには

誰も いない

いたくて仕方ない

そう思っているのに




2012/03/24 (Sat)

[432] 多数決
詩人:さみだれ [投票][編集]

左利きってね
疎まれるんだよ
右利きの人はね
何にも言われないよ
世界は民主主義でね
少ない人は損をするんだよ
七割が青だと言えば
黄色や赤は変だと言われるんだよ
おかしいよね
残り少ない人には何にもいいことなんかなくて
考え方、生き方すら悪く言われて
悪く言われなくても受け入れてくれなくて
左利きってね
矯正させられちゃうんだって
やっていることは同じなのにね
頭んなかロボトミー手術じゃないけど
似たようなものだよ
病気じゃないのに病気だと言われたり
こっちのが多いからと言ってそっちのを省いたり
あーあ
ほんと嫌になるね



2012/03/24 (Sat)

[431] サンセット通り
詩人:さみだれ [投票][編集]

サンセット通りには泳ぎ疲れた人魚たちが亡霊のようにさ迷っている
かと思えば生まれたばかりの珊瑚の子供が母との別れを惜しんでいる
サンセット通りを北に行くと小さな喫茶店がある
癖毛のマスターが淹れる紅茶には肩をほぐされると
彼女はよく言っていた
その向かいにあるホテルに若いロブスターが恋人らしき女性と入っていく
そこに愛はあるのだろうかとマスターに訊ねると
マスターは怪しく犬歯を光らせ(営業用のスマイルか)コップを磨く作業に戻った


そうだ
サンセット通りには決まって午後五時になるとチャイムが鳴る
何十年か昔の童謡らしい
彼女はそのチャイムが鳴る間だけ内緒話をした
ほとんど聞き取れないままチャイムが止み、その後彼女は"帰ろう"と言う
それが日常だった

サンセット通りには遊び疲れた人魚たちが亡霊のようにさ迷っている
そこに彼女の姿はなく──
いつまでも来ない夜を思って
僕はその場を去った


2012/03/23 (Fri)

[430] 簡易自殺
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さて、
あなたは如何にしてそこから這い上がるのでしょうか?
無駄な足掻きに波は容赦なくその身を打つ
今やっと気づいたことといえば
明日着ていく服洗ってないなぁ
で、あなたは如何にしてそこから這い上がるのでしょうか?
許されるはずがありません
許してはならないのです
避雷針に落ちた雷をおもしろいと笑った
いいえ笑われていたのです
あなただけでした
耳が不自由だったのは
そうです
あなた以外のものも許されてはならない
しかしあなたがそれを言えば
"自分を棚にあげて"
だからこそあなたは冷えゆく心臓に
手足の麻痺
生きたいがために行ってきた呼吸も
滑稽なことにあなたの肺を凍らせます
それは苦しみ
さて、
あなたは如何にしてそこから這い上がるのでしょうか?



2012/03/23 (Fri)

[429] 偽装自殺
詩人:さみだれ [投票][編集]

理解してくれない
だから理解して
私、死ぬかもしれない
はやく希望を与えて
生きる糧を頂戴
私のこと考えてよ!
ねぇいつになれば気付くの?
私、お腹が空いてるの
もうずっと
幸せなんかない
生まれてこなきゃよかった
優しくしてよ!
愛してよ!
理解してよ!


"本当にそうなの?
それでも死なないの?
まだ生きてたの?
早く死ねば?"

『偽装自殺』

満月の夜
世界は血に満ちる
落日の丘で祈りを捧げた少女は
翌日、変わり果てた姿で発見された
両親はかけがえのないものを亡くしたと泣いた
次の日もその次の日も
そして泣き腫らした目で天を仰ぎ
祈りを捧げた
長い長い祈りを二人は捧げた

満月の夜
ぼくはしぬことにしました
このせかいにきぼうをみいだすことができませんでした
ぼくはもうたえられません
みなさんありがとうございました

偽装自殺

ねぇ気付いてよ
"何に?"
私が苦しんでること
"どうして?"
幸せがわからないの!
"いつから?"
わからない
"どうして?"
それくらい辛かったから
"なぜ言わなかったの?"
言いたくなかったから
"聞いてもよかったの?"
聞いてほしかったの!
"そのために君は何をした?"
手首を切った
"それ以外に君は何ができた?"


じゃあ私はどうすればいいの
こうすることでしか
理解してもらえないはずなのに

『偽装自殺』

2012/03/22 (Thu)

[428] レジスタンス
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理想的な世界でなくていい

ただそれぞれがそれぞれを尊重してほしい

誰かの望む世界はいらない

みなが違っているから楽しいんだ




長い年月をかけた魂をこめて

"あなたは間違っている"

2012/03/21 (Wed)

[427] 無題
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月に行きたい
宇宙人になって
ひとりで月にいたい
誰の言葉も聞かなくてすむ
月に行きたい
見たくないものも見なくてすむ
月にいたい
もし満月に橋が架かったら
急いで渡らなくちゃ
色を変えてしまう前に
渡りきらなくちゃ
何も感じなくていい
誰を思うでもない
月に行きたい
ただ平凡に暮らせるように
争い事がないように
月にいたい
三日月に桟橋があるのなら
船を作ろう
ひとり分の質素な船
そいつで月に渡ろう
はやく渡ってしまおう


2012/03/21 (Wed)

[426] メランコリヤは歌う
詩人:さみだれ [投票][編集]


人は目も合わせず
彼女と語らったよ
その目には魔法がかかっていると
誰もが疑ってしまうから
彼女の晩餐
ひどく焦げ付いて
それを食べなければ明日は生きられない
そうひとりでに決めていたんだろ
だから神様は非情だと
あなたは歌うんだ!
無意識に蝕んでいたその毒が
世界を濁らせていると

静かに眠ってくれ
穏やかな気持ちを遮るものはみんな
家の中に逃げ帰ったよ
彼女の窓
訪れるミカエルの羽を大切に
箱の中に仕舞い込む
太陽が真新しいと涙を浮かべて
頬を拭う手は乾ききって
だから人は出来損ないだと
あなたは歌うんだ!
差し伸ばされた手を握り返すことを忘れて
もう二度と恋なんてしないと

けれどあなたはそれを欲しがっている!
何よりも代えがたいものをあなたは求めている!
今はまだ深い海の底で
息の仕方を思い出せずにいるけれど
あなたは知っているんだ!
あなたが目にしてきた様々なものに答えはあると
あなたは知っているんだ




2012/03/20 (Tue)
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