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さみだれの部屋  〜 新着順表示 〜


[295] 
詩人:さみだれ [投票][編集]

生きたい場所がわからない
生きたい時間がわからない
宇宙はひとりだからさみしい
地球は誰かがいるから煩わしい
できるなら夢
目の覚めない現実
それがいい

捨てる勇気もないし
適応できる自信もない
それらを奪ったのはあなた
大嫌いなあなた

状況が一変
鳥になったなら
風に乗って行けるのに
星になったなら
眠ったまま過ごせるのに
状況は不変
人でいる限り
そんなこと思いながら
人でなければならない
そんなこと思いながら
かじるんじゃなかった
あなたが差し出した知恵
知らなきゃよかった
いつか死んじゃうこと

2011/09/28 (Wed)

[294] 
詩人:さみだれ [投票][編集]

ハーブしか育たない星でも
人は生きていた
ウランとヘリウムの大気
それでも生きていた
夫の遺影と子供の走り回る音
灰に近い白の人間
この星にはもう彼らしかいない
それでも生きていた
もしこの星の裏側に
息を潜めて隠れてるなら
出てきてほしい
そんなに大きな星でもないから
出てきてほしい
私はもうここを去る
別れのあとには出会いがある
だから共に生きてほしい

2011/09/27 (Tue)

[293] 
詩人:さみだれ [投票][編集]

コーヒーの隣に妖精が座る
器用にスプーンで混ぜている
灯りを離した
暑そうだったから
そして最後に魔法の粉を入れる
それが楽しみなんだ

仕事から帰ると
妖精は決まって寝ている
すっかり冷えた夕食にラップをして
ひっくり返した茶碗の上で気持ちよさそう
夢を邪魔しないように
そっとベッドに連れていった
そして食べる夕食が温かく思えて
今度は一緒に食べようって思った

寝る前におやすみ
布団をかけ直してやる
たぶん妖精は誰よりも早起きで
どこよりもうまいコーヒーを淹れてくれる
そしてそれが当たり前じゃないことに気づいたとき
なんだか嬉しくて顔を合わせられないんだ

2011/09/26 (Mon)

[292] 
詩人:さみだれ [投票][編集]

あれは写真だから
そこに私はいない
一瞬だったから
何を思っていたか忘れた
だからそれは脱け殻
そこに私はいない
忘れてほしい
ただ過ぎた季節
色褪せていくよ
どんなにあがいても

あれは詩
そこに私はいない
笑ってはいない
泣いてもいない
つまり心なんてない
ただ文字の羅列
廃っていくよ
どんなに願っても
これは私ではないのだから

2011/09/25 (Sun)

[291] 
詩人:さみだれ [投票][編集]

化け物たちは縄張りを作った
それぞれがそれぞれの形で寛いでいる
俺は部屋の蛍光灯をLEDにした
シンデレラのために
しかし化け物は光が気に入ったらしく
ぶざまな取り合いを始めた
その挙げ句粉々に砕けてしまう
俺は怒らない
誰も悪いとは思わない
だからまたこつこつと貯金をした
何ヵ月、何年、何十年、と
そのうち化け物たちは一人、また一人と死んでいく
気づいたときには一人暮らしの初日だった
俺は泣かない
寂しいとは思わない
部屋のゴミ箱にはシンデレラの手紙が何通か捨てられていて
俺は燃えるごみの日に窓から放った
ちょうど収集車が通る時間に
いつか
という夢を見なくなった頃
俺は死ぬ
何の実感もなく
ただいつものように眠っただけだった

2011/09/24 (Sat)

[290] 
詩人:さみだれ [投票][編集]

思い通りにならない
あなたは勝手な人
そんなことで泣いたって仕方ない
あなた以外のすべてがあなたであるはずがない
だからあなたに辛くあたるものや
あなたを憎むものだっている
それらを無視できないのは
おそらくあなたが優しいから
それらに悩んでいられるのは
おそらくあなたの本心だから
泣くための涙じゃない
生きるための涙じゃない
死んでいくための涙じゃない
あなただけの涙じゃない
相対するものが必ずある
あなたはそれに気づかないだけ
あなたを幸せにするのは涙じゃない
喚く時間が多ければ多いほど
楽しい時間は減っていくんだから

2011/09/23 (Fri)

[289] 
詩人:さみだれ [投票][編集]

目の前のごちそうに
よだれを垂らして
食い付きの悪い肉だって
噛みきってしまいそう
いつもベッドはもぬけの殻
冷えきってしまって
当たり障りない話も
冷蔵庫に隠した
それを切って炒めて
味を調えて
今すぐにとはいかないけど
お皿はもう並べてる

部屋の電気を落として
夕べのことも暗くなったら
そのうち巡ってくるさ
誰かが隠し味を持ってくるんだ

レシピには載ってない
でたらめな心
単純じゃないから
深く濃厚な味わい
デザートはまだいらない
まだまだ話していたい

2011/09/23 (Fri)

[288] 雲の下より
詩人:さみだれ [投票][編集]

あなたの尊さは
命をも越えたのでしょうか
そばに咲く草花を踏みしめては
向かうべき場所はどこでしょうか
揺らいでいるのは
ただ一人ではないでしょうか
霞んでいくのは
かつて尊いとされた何かでしょうか
見失った
今はもう陽炎となった頃でしょう

窓辺に置いた花は
いつか逃げてしまうのでしょうか
道標にした石は
もう自分の知るものではないのでしょうか
ならば
ならばあなたの手に届きたい
それは単なる甘えだ
感じることを忘れた天使は言う
新しい足は
道なき道を歩もうとする

あなたの夢は
かつて見た幻であった
生きることを恐れた
生きた人間の創造でしかなかった
見つかったものは
すでに心の中に息吹いていることでしょう

2011/09/22 (Thu)

[287] 
詩人:さみだれ [投票][編集]

彼方の君よ
無線が途絶えて
どれだけの時間が経ったのか
君の希望がまだ明々と据わっているのを
信じるほかない
この無線は私の希望だ
私はまだ君を諦めたわけではない
だからどうか君よ
諦めないでいてくれ
彼方の君よ
その瞳が青く輝いていることを
私は信じている

2011/09/22 (Thu)

[286] 
詩人:さみだれ [投票][編集]

犬ばかり
塀の上
マンホール
動物園
尻尾を振ってる
何が楽しいのか
パタパタ、パタパタ
おまけに足に飛びついて
吠えている
黙って動かないでいたら
犬はどうするんだろう
ま、なんだっていい
犬しかいないんだ
嫌でもわかるさ

深夜の遠吠えが連鎖して
人間は夜行性へと進化した
3時のおやつは骨にかぎるぜ
人間は骨を拾い続けた
名前をつけても被るので
名前はつけないでいる
首輪をつけると怒るので
放し飼いにしている
いよいよ犬が出馬する時代になった
とこで出馬って言葉の由来はなんだろう
なんだっていい
犬が教えてくれる
そのうちわかるさ
ワン

2011/09/21 (Wed)
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