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さみだれの部屋  〜 新着順表示 〜


[263] 記憶
詩人:さみだれ [投票][編集]

忘れたこと
忘れてはならないこと
忘れてしまったこと
忘れること
覚えていることは
髪の毛を伝って
地面に落ちて染みる

忘れられることは
睫毛に光の粒を
光が見えなくなる

覚えていたことは
窓から飛び降りて
二度と帰っては来なかった
忘れないことは
息の生暖かさや
それを送るものの尊さと同じ

2011/09/09 (Fri)

[262] ディスタンス
詩人:さみだれ [投票][編集]

曇りガラスを見ている
その向こうにある庭の花を
かまいたちが荒らしてしまわないように
彼女は祈りを呟いた

たったひとつの友達が
翌朝には散り散りになって
彼女はひとり窓辺のテーブル
紅茶の香りを楽しむ
気まぐれな心の中では
コーヒーが香る
苦いのは嫌いだというのに
眠れなくなってしまうのに

ため息をふたつ、みっつ
曇りガラスを真っ白にして
人差し指で書いた
自分の名前も歪になって
手のひらで拭った
窓の外に広がる世界を
つまらなさそうに眺めている
彼女はずっとつまらなさそうに眺めている

2011/09/08 (Thu)

[261] 君が話してる、それは誰?
詩人:さみだれ [投票][編集]

君はいつも自分のことばかり
そりゃそうだよね
君の心には君しかいないんだから
という意味では君も孤独なんだよ
それを胸張って言うのも
うつむいて隠すのも滑稽だな
だいたいいつもそんな感じでお昼のメニュー決めてるんだろ
さみしいやつだ

また
また話してる
君が君と話してる
好きだとか嫌いだとか
どっちでもいいから
君以外のことほったらかしてる
気づいてないんだ
気づかないほど自分が好きなんだな
君が恋と呼んでるものは
君の心にしかない
残念ながら誰もいないよ
君がそこにいる限りは
全部まやかしだ

2011/09/06 (Tue)

[260] 
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死んでいる

ただそこに横たわって

それから亡霊がやってきて

美しい亡霊で

そしてやっと死に終えた

笑う

私は満足している

肺に溜まったタールも

気が狂いそうになる胃液も

気にしなくていい

私が求めるものが

迎えに来たのだから

安心する

時勢はわからない

誰がいたのか

何があったのか

そんなことはどうでもいい

なくして綺麗になった体

美しい亡霊

過去も未来もいらない

私はずっと死んでいたい

2011/09/06 (Tue)

[259] ほどよい甘さで
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君のほっぺが落ちる
憎たらしいフレンチトースト
三枚目がフライパンで歌ってる

それはそうと
さっきの夕暮れが嘘のように
月が空に張りついてる

ああそのまま
そのままずっとこうしていられたら
君の幸せを一緒に噛み締めていられる

君が寝言を言う
憎たらしい掛け布団
つぶれるたびに嬉しそうに

ああ今より
今よりずっといいことがあるなら
君のさみしさを抱いていられる
そのままずっとこうしていられたら
君の幸せと一つになれる
それが僕の幸せ

2011/09/05 (Mon)

[258] 証明
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誰も君のこと気にしちゃいないよ
君のこと暴こうなんて思っちゃいないよ
そこいらの石ころを踏んだり避けたり
蹴ったりしたこと
忘れたように

どれほど喚こうとも聞こえやしないよ
君の部屋は防音で
まして入り口も開口部もない
出てくることすらできないよ
だから君は生まれてすらいない
死んですらいない

中途半端な丈
似合わない筆舌
決壊した理論
生も死も忘れた物
ただそこにいて
いることを誰も知らなくて
つまり存在できていない

2011/09/04 (Sun)

[257] ムーンライト
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少しだけ勇気を出して
窓を開けてみた
変わらないようで
やっぱり変わっている
君はどう見てるんだろう
わからなくて悩んでる
冷めてしまった僕の心を
どうかあたためて

たくさんの夢を見たよ
その中には嫌な夢もあったよ
どうでもいいものはもう
忘れてしまったよ
夢で君に会ったとき
何にも言えなかったことが
今になって苦しい
それでも君が笑うなら
窓をずっと開けて
冷めてしまった心たちを
卵のように抱いて
どうかあたためて

2011/09/04 (Sun)

[256] beatiful sunrise
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ベーコンをカリカリになるまで焼いてね
たまごは半熟がいいな
コーヒーは砂糖三つね
パンは…ないの?

行き交う楽隊
ソプラノだろうか
それにしても隣のビル
高すぎやしないか

まだまだ眠り足りないよ
テレビつけないで
でも占いだけは見たいな
時間が来たら起こしてくれ

誰が閉めたカーテンだろう
開けなくちゃ始まらない
太陽はそばで怒ってる
もう遅刻だぞ!って
ああそういやそうだっけ
そんな気もする

2011/09/04 (Sun)

[255] 鈍行列車
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過去 現在 未来
道草食って 夢
どうせならもう
そこに居すわって
何食わぬ顔であなた方を見送ろう

(羊の毛皮をもって、佇むスーツ姿
"今しがた刈ったばかりなんだ"
ムササビのように広げて見せる
俺のはガラスの
どこにでもあるようなガラスの靴)

朝 昼 夜
寄り道ついでに 夕方
どうせならもう
そこに寝ころんで
花の蜜を吸いながら
あなた方の羽を眺めよう

2011/09/04 (Sun)

[254] トワイライト
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自転車で坂を上る
重たい足枷にも
風が吹けば嘘のように

見つけてもらえず
神社の裏で待ってる
神様
どうか彼を思い出して

時計なんて飾りだ
気にしちゃいけない
それでも誰かが君を呼んでる
帰りなよ!って

のびた影を二つ
くっつけて遊ぶ
神様のにやけた顔が
雲に浮かぶ
それにも気づかないで
僕らは帰っている
穂の揺れる音と
カラスの輪唱
バイバイ
それが始まり

2011/09/03 (Sat)
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