詩人:さみだれ | [投票][編集] |
海の中で泳いでる
水面を凍らされて
息継ぎができないまま
とうとう魚になってしまった
さかなの絵を
書いてる少年の顔
曇ってる目の奥に
ひとが歩いてる
空の上で泳いでる
雲が汚れきって
同じ景色に飽きた頃に
当然鳥になっていた
土の中で泳いでる
アスファルトで真っ暗になって
目が慣れないまま
ついにもぐらになっていた
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悲しみを奪ってまでも
守りたいものってなんだろう
言葉を潰し歩いてまでも
得たかった幸せってなんだろう
古いものが偉いと思ってても
新しいものが輝いて見えて
いつのまにか真っ黒の瞳の中に
星がちらちら散っていた
間違いだなんて決めつけても
正しいことは怖くて言えない
言えないなら表しようがないよ
そんなことなら黙ってていいだろう
ただそこに立ってるだけで
生きてることになるのなら
誰だって死ぬことはしないだろう
さみしさを紛らせてまでも
守りたいものってなんだろう
嘘をついた口を洗ってまでも
気にしていたものってなんだろう
大切にしてないものほど
助けてもらってるものだろう
大切にしたいものほど
目に見える場所にあってほしいだろう
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わからずやのダダは
眠れる場所がほしいと
森の中へ足を踏み入れた
町の人たちは
すぐに帰ってくるだろうと
眠らず宴を続けた
月が照らす切り株に
ダダは体を預けた
こっそり後をついてきた君は
彼を見つけられず
それはそう
ダダはもういなかった
誰の目にも触れられなかった
機械的な涙を流す
町の人たちの夜明け
そこに月はなく
夕べの跡が目立つばかり
森の中は静かに
君はひとり眠らずにいる
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あなたが幸福だと私は不愉快な気分になります
同じ空の下がどうとか綺麗ごとに他なりません
かといってあなたが不幸だと私が幸福になることはないのです
自分のことを蔑む者など見ていて気持ちのいいはずありません
あなたへの関心はないのです
だから一切を語らないでください
割り切れない子供の話など聞きたくはないのです
それがあなたへのすべてです
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あなたがいる
だからもう静かじゃない
心が鳴る
今すぐにでも聞いてほしそうに
もうしばらくしたら眠るのだろう
あなたが眠るそばで
つれないやつだな
笑ってくれよ
いつまでも眠ってないで
あなたがいる
だからもうひとりじゃない
心が増える
一個がこんなに重いなんて
離れないためなんだろう
あなたにも渡ったんだろう
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つん、と尖った口先で
どれだけの笑顔を壊しただろう
意味のない言葉の数
数えきれないのは無意味な人生だったから
また僕を笑いに来た
白い目で僕を笑いに来た
くだらないと吐き捨てて
どれだけの思いをはたいただろう
なんとなくの一言で
片付けた悪事がこめかみに響く
まだ生きていたんだ
もう死んでいたと思ってたのに
どこへでも行けばいい
すれ違う人を気にしないで
ほんのひとりの戯言
聞けないふりしても応えてしまう
うまく笑えない顔が
風化していくのがさみしいの?
うまく笑えた顔が
誰かの笑顔を壊してしまう
まだ僕を笑っていた
口を裂いてまで笑っていた
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世界が変わっていく
しがない老婦人の行く末も
迎えの来ない恋人のカクテルも
愛せないのは不確かだからでしょ
狼は何者も食らわない
ダンスの誘いはいつだって勇気がいるものさ
我慢ならないのは怖いからでしょ
さぁハットを被りなさい!
化けの皮を剥ぐときが来た!
テレビから流れるニュースに
その音楽は似合わないでしょ
世界が変わっていく
何もかも"ない"ふりをして
息をしてることも忘れたなら
世界が変わっていく
少女の祈りはあの針の向こう側
見つからないのは一瞬だから
さぁあの子をウサギ小屋から出しなさい!
誰も何も変わらないなら
みんなで一緒に踊りましょうよ
それからまた始めましょう
楽しい、楽しい世界をね
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本当のこと言うとね
たださみしいだけなんだ
どれだけ美しい夕日も
ひとりで見てるのは
こんなこと言葉にするとね
誰かに甘えたくなるんだ
強がってひとりで生きてるけど
弱くてひとりで死にそうなんだ
月も太陽もひとりきり
星は数えきれないほどあって
人は増えてばかりいるのにね
僕もひとりじゃないはずなのにね
本当のことはね
あまりにみっともなくて泣けてくるんだ
青い光の部屋の中でも
いるのはたったひとりなんだ
言葉ってのはね
どうしようもなく伝えたいものなんだ
行き場がなくたって
生きてるようなものなんだ
本当のことは
言葉にできないようなこと
たださみしいだけってのも
嘘なのかもしれない
その中の本当なのかもしれない
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落書きだらけのノートの隅っこに
息を殺して隠れてる答え
ベストな生き方笑ってるのは
いつだって問題だろう
頭に響くよ
もう嫌ってほどわかってる
今だけは
耳にタコができるよ
聞きたくない冗談も
君のため
隣同士だから教え合える
二人で解けるから楽しいんだよ
背中合わせだから頑張れる
振り向かないそいつが好きなんだ
最後の問題
一番難しいけど
どこかに隠れてるんだろ
ノートから飛び出した
無口なお前を待ってたんだ
僕の手で書いてあげる
君の名前を最後に
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悲しみの向こう側
君を誘っていけるなら
ため息で聞き逃した
あの歌だって思い出せるから
だから、ほら
泣かないで
今は、ほら
こんなにも明るい
羽が生えたあとのこと
考えてばかりじゃ苦しいだろう
輪になることが怖くて
思い切って手を繋げたら
そこに、ほら
誰かがいる
今は、ほら
こんなにも明るい
悲しいのは僕もそう
誰かのために生きたいのに
よくない夢ばかり見て
本当は違うって言いたいのに
君が眠ってる夜のこと
忘れてしまわないように
ため息で聞き逃した
あの歌だって歌えるような
ちょっとだけのよくないこと
思い出したなら
どれくらいかかっても
君はきっと思い出せなくなる
だから、ほら
泣かないで
今は、ほら
こんなにも明るい