詩人:さみだれ | [投票][得票][編集] |
世界から扉がなくなりました
みなさん泥棒です
はたまたサンタクロースです
脱獄するかのごとく外出し
ロケットランチャーでただいまです
恋人はスカートの丈を気にしながら
恋人の家に招かれます
しかしお父さんが庭の土の中から這い出てきたので
恋人はふられてしまいました
世界から扉がなくなると
デメリットもあるのだなぁと
老人ホームの梅の木を見ながら
おじいさんは言いました
もうおじいさんほどの年になると
なかなか部屋から出ようとしません
点検口から顔を出したヘルパーは
グラスファイバーにまみれた食事を差し出します
世界から扉がなくなった!
もう教室は不良たちで溢れかえり
窓という窓
天井という天井
床や壁までも壊しまくり
校長は修繕費のことで頭がいっぱいです
しかしある人は言うのです
(もし扉があったら
みんな鍵をしてしまうでしょ?
だから私、今の世界が好きよ
色んな苦労をして
人や物事に会えると
なんだかそれらがすごく特別なように感じるし
鍵をなくす心配もないし
それに──)
世界から扉がなくなりました
今日もガラスの割れる音が
遠くから聞こえてきます