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さみだれの部屋


[24] 虚ろな部屋に
詩人:さみだれ [投票][編集]

時計が動かない
誰のせいでもない
電池を抜けば
がらくたになると
わかっていたのに
彼はいじった
戻らないことも
進まないことも
しなくてすむと
わかっていたのに
ただ在るだけのもの
当たり前のこと
彼は拒んだ
まるで蚊を払うように


地球が回らない
誰のせいでもない
年をとりすぎた
ただそれだけのこと
わかっていたのに
彼は泣いていた
太陽が二度と
部屋の中に
射し込まないこと
わかっていたのに
ただ気にしなかったもの
当たり前のこと
彼は触った
まるでアルバムに触れるように

瞑った目を
開きもせずに
暗いと泣きわめいた
時間もない
わかっていたのに
彼はいじった
まるではじめからそうだったように

2011/04/11 (Mon)

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