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さみだれの部屋


[394] 無題
詩人:さみだれ [投票][得票][編集]

ぜんまい仕掛けの猫が一匹
ちっとも進まないのに歩いています
一メートル先のにぼしに
食らいつこうと懸命に
ぜんまい仕掛けなものだから
ついに止まってしまいます
回してあげて、と祈る私は
幽霊のような神様です
しかしどうしてか全能ではありません
なので人間を作りました
あの猫が止まらないようにぜんまいを回してあげましょう
神様の命令は絶対なので
人間は仕方なくぜんまいを回しました
猫がまた歩み始めましたが
やはりちっとも進みません
私は人間に言います
猫のお尻を押してあげなさい
神様の命令は絶対なので
人間は仕方なくお尻を押します
しかし人間は意地悪でした
猫は大好きなにぼしの前
あと一歩だというのに届かず歩き続けます
私は人間に天罰として
空腹を与えました
同時に優しさも与えました
そしてようやく猫はにぼしにありつけたのです


2012/02/14 (Tue)

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