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さみだれの部屋


[440] 彼女は銃を手に
詩人:さみだれ [投票][得票][編集]

彼女の心に棲む深い悲しみの
夜は風にのって
緩やかに丘を滑り落ちるでしょう
暗雲が立ちこめたなら
まだ年若い新緑の懐に身を預けるでしょう
それはまだ恋知らぬあどけなさを残し
ついには犯した罪すら知らぬのです

彼女の白く小さなか弱い手は銃を手にする
撃たなければならない
彼女の頭にはそれしかなかったのだ
目の前には震えるばかりの小動物が
逃げ道をあれやこれやと探している
彼女の心に棲む深い悲しみは
引き金を
すべての音が
光が
感覚が消えていくのを
彼女は覚えようとした


2012/03/29 (Thu)

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