詩人:さみだれ | [投票][編集] |
彼はギターを弾いた
左手は踊るように
右手をリードした
ホールにいる連中は
宇宙をさ迷っている
"あいつは本物だ!"
ブロンドの男は指差し叫んだ
彼はそれに見向きもせず
壁に張られたインディーズのポスターを
じっと見つめていた
ロックンロールは転じて
自己の破壊を意味する
彼もまたそうだった
彼の頭は名声と薬でヤられていた
ホールにいない連中は
きっと悪態をついている
"あいつはイカれてる"
眼帯をした女は中指をたてた
彼はそれに気づきもせず
最後のリフを決めた
彼のステージには
誰も上がることができなかった
彼を愛した少女は
父の書斎で見つけた38口径を彼に向けた
ホールにいる連中は
彼に釘付けだった
"私を見て"
彼はギターを弾いていた
細くしなやかな指で
人々を魅了した