詩人:さみだれ | [投票][編集] |
お楽しみ会
椅子とりゲーム決勝戦
ファイナリストの少年は
集会のときいつも先頭だった
少年は給食の牛乳を残さない
それなのに整列のたび腰に手をあてていた
その日少年はツいていた
三十人の猛者どもを蹴散らし
死闘の果てにたどり着いた椅子
その椅子はおそらく近い未来博物館に飾られることになる
決戦の場に似合わず
軽快な音楽が流れる
始まった
少年は相手の動きを窺った
視線、間合い、息づかい、
嵐の前の静けさか
ギャラリーは固唾を飲むことも躊躇われる緊張の中にいた
少年は思う
この戦いの果てに何があるのだろうか、と
少年は無駄な思考を叩きだし、集中した
"考えるんじゃない!感じるんだ!"
学校側の理不尽な扱い(集会の件)が走馬灯のように
そしてその先にあるものを少年は見た
そのとき少年は初めて無我の境地へと達した
ピタッ
まさに一瞬の出来事だった
光のごとく神速で誰も終わったことをすぐには認識できなかった
そう、ただひとりを除いて
栄光の玉座に腰を据えた少年はまさに王と呼ぶにふさわしい貫禄を見せつけていた
祝福と賛辞の中先生は言う
「背の順に並んでくださーい!」