ホーム > 詩人の部屋 > さみだれの部屋 > 月の欺瞞

さみだれの部屋


[489] 月の欺瞞
詩人:さみだれ [投票][得票][編集]

誰かに認めてもらいたいと
多くの詩を書いたとしても
それは雨のように
一粒一粒を気にするものはいない

好きだの愛してるだの
あなたは何万回書いただろうか
そうじゃない
もっと楽しませてよ!

共感を求めるあまり
自分らしさを無くす
わざとらしく悲観しては
にたにたと褒美を待つ
いやらしい手

昨日まで流行っていたね
今日からは廃っていくよ
面白いほど目まぐるしく
あなたの詩は過去へと追いやられる

忘れたんだ
それほどまでに凡庸な詩を
私たちは書いているという事実

人は貶されるのを嫌う
奮い立つこともせず
哀れなものだ
向上心なんてものはまやかしだったのだ


そう、これは世界の終わり
私はとけ込まなくてはならない
"騙されてはならない
あれは月からの有害な電波であり
それには何の意味も含まれてはいない"

2012/05/22 (Tue)

前頁] [さみだれの部屋] [次頁

- 詩人の部屋 -