詩人:さみだれ | [投票][得票][編集] |
ギャアアアアア!!
と鳴いた
口から火が出る
足元の生き物たちは
肩を寄せ合い震える
巨大な爪がビルを引っ掻く
邪魔な尻尾が山を削る
子供たちは親に抱かれ
泣きながらもヒーローを呼んだ
そんなものは、いない
ギャアアアアア!!
と鳴いた
自衛隊のミサイルが肌に触れる
気持ちが悪い
口から火を吐いた
オイルに引火して自衛隊は落ちる
死に際に彼らはヒーローを呼んだ
そんなものは、いない
ペチャンコの車
倒壊した家屋
電線は火花を散らし
ひとがたくさん死んだ
世界中で名前をつけられ
みんな来ないことを願った
ギャアアアアア!!
と鳴く
勇気ある男の子は太い足を蹴った
泣くことをやめた女の子は噛みついた
巨大な爪がヘリを叩き
邪魔な尻尾が道路を裂いた
みんなヒーローを呼んだ
そんなものは、いない
みんな生きたいと願った
そんなものは、知らない
ギャアアアアア!!
と鳴いた
口から火が出ても
鳴き続けた