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さみだれの部屋


[61] 影法師
詩人:さみだれ [投票][編集]

夕暮れの影法師

全部拾っていくんだろう

哀愁の湿っぽい匂いも

鞄についた鈴の音も

暗色の草花も

引きずってまで持って帰る

誰のものでもないから


いつまで眉間に皺を寄せているんだろう

美しい絵画も眩しいだけで

あなたの目には残らないからか

ノスタルジーに

心を奪われたからか


この世界は特別だ

何もかもが見えなくなる

そうやって落としたものにも気づけずに

影法師のことも忘れている

追憶に囚われて

歩みをやめてしまわぬよう

夜は影法師を追い出した


夕暮れの衝動

がむしゃらに生きてみよう

そう誰かが背を押した

思わず一歩前に出て

振り向けば影法師は去っていた

そこに新しい景色を残して

新しい記憶を残して

2011/04/28 (Thu)

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