詩人:さみだれ | [投票][編集] |
すぅ、てさ
息を吸い込んだら
星間ガスが肺に溜まって
君の知らないところで星が生まれたよ
そっと目を開いたら
彗星が入り込んで
君の願いを聞くどころじゃなくって
これが理なんだ
君は涙を流しながら言う
メタンがこぼれ落ちる
僕のは一酸化炭素
もう
二度と会うことはない
って
君は
僕は
思った
バルジに行くまでの
長い時間
月の海を見ていた
君と僕が
まだ生物だった頃
よく月を眺めては
あれはウサギの耳だ
とか
あっちは静かの海ね
とか
そういった話をしていた
晴れた夜には
毛布を持ち寄って
飽きもせず一晩中眺めていた
僕はたまに君の方を盗み見ては
君と君の向こうに広がる数多の星ぼしに
慈愛のようなものを感じた
今でも
そのときの光景を思うと
幸福感で満たされる
やはり
君が好きだったんだ
と
ただ
ここには
君が思う幸せはないのだろう
喜びも悲しみも
すべてを背負うことができる
勇気も
無機質なスペクトルと化した
僕には