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さみだれの部屋


[767] ワールド・エンド
詩人:さみだれ [投票][得票][編集]

そのしがない老婦人は
孫にあげるプレゼントを探し町を歩いていた
その目には子供のような無邪気さを覗かせ
湧き上がる高揚を堪えながらもしかし軽い足どりだった
それでも世界は終わる
風船のようにふわりふわりと

彼女は約束の時間を気にしていた
バーで落ち合う恋人に嫌われないように精一杯のお洒落をして
その手には初めて繋いだ恋人の手の温もりがあり
思い出せば自然と出てくる笑みを堪えながらも心は踊っていた
それでも世界は終わる
カクテルが夕日色に染まる明けにはもう

家族で出かける初めての旅行
父はガイドブックを一心に読んでいた
母は眠る我が子の手を握り窓の外を眺めている
太陽は穏やかに空を青く見せて
その空を狼は木陰から仰いだ
それでも世界は終わる
初々しくはしゃぐように

パーティーはつまらない
いつも仲間はずれだから
私はさみしんぼうのうさぎなのに
いっつも「部屋にいなさい」 って言われるの
それでも世界は終わる
私がゴロンと横になると
世界は色とりどりにくだけ散るの
ニュースの終わりのように
とても静かに

2014/01/30 (Thu)

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