静かの海に着きました人魚はもとよりクラゲもいませんただ一艘の船があり私がありそれだけです百年夢見たお伽噺はこの海にはありませんここから見えるのは押し付けがましい現実の数々ようやく身に滲みましたこれが命の限りだと夕焼けのオレンジをルナリアンは知らないそれでも黄昏は知っているとてもよく知っている“あなたは誰?“と問う言葉をずうっと聞いて生きてきたから
[前頁] [さみだれの部屋] [次頁]