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さみだれの部屋


[820] アスタロテの森
詩人:さみだれ [投票][編集]

月の光のもと
眠る少年を少女は見ていた
今日まで溢さずにいた涙や
後悔や寂しさや
それらをすべて少年の頬の
まだほんの少し温かい少年の頬の
笑窪に触れて我慢した

(この森にはアスタロテがいてね
夜になると迷いこんだ旅人や
村の子供を魔法にかけて寂しくさせるんだ)

少女は思い出していた
昨日のことも一昨日のことも
もっと前のことも
「お母さんの声が聞きたい
絵本を読んでほしい」
そう思ってしまった少女は
涙を流しながら微笑んでいた
目の前にいた少年は霧のように曖昧になり
消えていくそばで
少女はついに眠りについた

2014/07/18 (Fri)

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