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さみだれの部屋


[870] 夜雨
詩人:さみだれ [投票][編集]

夜が好き
この虚無感
何もないとは言い切れない闇のなかで
どうして虚無感を覚えるの
私の放った言葉も
見当たらなくなるのに
どうして不十分な優しさを
私の肺に届けるの

躍動しない
この安心感
私は否応なしに真っ黒い服を着せられて
誰にも触れないように歩くの
ぽつりぽつり雨が降り
誰にも見つからないように雨宿りをするの
街灯を避けて ぽつりぽつり

夜が好き
夢のなかでこの星空が見られたなら
この星空は何のためにここにあるのだろう
絶対ではない不安があって
必要としない悲しさがある
私たちのためにこの星空があるのなら
夢のごと素敵なことでしょう
だから私は さみしいのでしょう

夜が 好き
脳が躊躇うのを
楽しいと感じる不気味な夜が
心が重力に捕まって
動けなくなるのがとてもいい
虚無感のなかにあなたを見つけて
その安心感を否定する
この夜が
心底好きなのです

2015/05/25 (Mon)

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