詩人:さみだれ | [投票][得票][編集] |
風車広場を駆け抜けて
黒猫バロンは夜にとける
水色の水彩絵の具で塗ってくれ
路肩の画家にそう言い捨てて
不安定なきらきら星が
子供たちの内心の事象面から
外的接触を試みようと飛び出してくる
星ひとつをつまみ上げ
空いている窓に放り込んだ
黒猫バロンは帰ることを忘れたんだ
私は仕方がないとのみ込んだ
汽笛が鳴り
頭上を黒い渦が覆う
夜でもないのに
彼は夕暮れに何を思っていただろう
紫の空を仰いで
どうなりたかったのだろう
きらきら星が空気に浸され
私の肺をいっぱいにする
混濁する意識の片隅に
足元を過る黒猫バロンが
星のごと輝いて見えた