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さみだれの部屋


[873] 水銀の星にて
詩人:さみだれ [投票][得票][編集]

風車広場を駆け抜けて
黒猫バロンは夜にとける
水色の水彩絵の具で塗ってくれ
路肩の画家にそう言い捨てて

不安定なきらきら星が
子供たちの内心の事象面から
外的接触を試みようと飛び出してくる
星ひとつをつまみ上げ
空いている窓に放り込んだ

黒猫バロンは帰ることを忘れたんだ
私は仕方がないとのみ込んだ
汽笛が鳴り
頭上を黒い渦が覆う
夜でもないのに

彼は夕暮れに何を思っていただろう
紫の空を仰いで
どうなりたかったのだろう

きらきら星が空気に浸され
私の肺をいっぱいにする
混濁する意識の片隅に
足元を過る黒猫バロンが
星のごと輝いて見えた

2015/06/29 (Mon)

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