君がくれた抱擁からふわりとこぼれた優しい移り香二人の気持ちを見透かす様に移り香はとても正直だ僕からずっと離れようとしない別れのキスを交わした後なのにそれとも後だからなのだろうか移り香は鮮烈に漂い続ける離れたくないなんてかっこ悪くて言えない代わりに移り香だけは正直に僕らの気持ちを物語っているそして今夜も辞めた筈の煙草に火を点ける
[前頁] [野上 道弥の部屋] [次頁]