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中村真生子の部屋  〜 新着順表示 〜


[20] 神様の呼吸
詩人:中村真生子 [投票][編集]

あたりが昏くなり

ふーっと吹雪がやってくる。

その一息で

枯草の大地も

緑の木々も

瞬く間に真っ白に。

あわてて鳥は藪に隠れる。

あたりが明るくなり

すーっと吹雪がやんでいく。

けれど再び昏くなり

ふーっと吹雪がやってくる。

ふーっと吹雪いたり

すーっとやんだり…。

神様の呼吸の中で生きている…。

2012/02/17 (Fri)

[19] 春の囁き
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もういいかい。

まあだだよ。

木々のかしこから

耳に響くのは春の囁き。

もういいかい。

もういいよ。

大地のあちこちから

耳に響くのは春の囁き。

もういいかい。

もういいよ。

風のまにまに

耳に響くのは

日ごとに増える春の囁き。

2012/02/16 (Thu)

[18] ありがとうの日
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今日にありがとう。

豊かさとは深なりと

気づかせてくれた今日に。

今日にありがとう。

強さとは低さなりと

気づかせてくれた今日に。

今日、ありがとうの日。

あなたと出会えて

今日、ありがとうの日。

2012/02/16 (Thu)

[17] 雨の匂い
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目が覚める。

町はもう目覚めているのだろうに

ひっそりと静かで

陽はもう昇ってるのだろうに

まだほの暗く…。

子守唄のような柔らかな空気が

部屋を満たしている。

こんな日は決まって

雨が降っている。

起き上がって外を見ると

やっぱり雨。

海を、大地を、家々を

慈しむように粉ぬか雨が降り注ぐ。

窓を開けて雨の匂いを楽しむ。

また少し春を連れてきた雨の匂いを…。

2012/02/14 (Tue)

[16] エトランゼのように
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久しぶりの陽気に誘われて
島根半島に出かけてみる。
水道に架かった橋を渡り
くねくねとカーブをした道を
半島の先端に向かって走ると
大山が見えてきた。
空と海の青いキャンバス
まばゆいばかりの真白い衣
ゆったり広がる優美な裾野…。
部屋から見る姿との違いに
私は戸惑い
エトランゼのようにキミを見つめる。
一抹のジェラシーを感じながら…。
キミもエトランゼのように私を見る。
けれど私はもう知っている。
キミはキミであることを。
私は私であることを。
互いに何も変わったりしないことを…。

2012/02/13 (Mon)

[15] tatoe
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いちばん最初に冬が来て

いちばん最後まで冬が留まっている

右手よ。

左手よりも心臓から遠く

それゆえ

ポケットで温まる暇もなく

仕事を請け負っているのか。

右側を使うことで

心臓が傷つくリスクを減らし

また動かすことで

血液を受け取るために。

いちばん寒い思いをしながら

いちばんよく働いている

右手よ。

あなたが温まったときに

春が来る。

それまでは言わまい、

春が来たと。

たとえ花が地を埋め尽くしても…

たとえ高みから鳥が歌っても…。

2012/02/12 (Sun)

[14] みんなの歌合戦
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紅白に分かれて

みんなで歌合戦。

それぞれが歌えば

紅い花

白い花

それぞれの花が咲き

ステージは花いっぱい。

歌に踊りに

盛り上がる。

観客が歓声上げれば

黄色い花

ピンクの花

さまざまな花が咲き

会場は花いっぱい。

終わってみんなで

「故郷」を歌えば

みんなの

心は花いっぱい。

軒下に

いまだ氷柱は下がれども

花いっぱいの春が来た!

2012/02/10 (Fri)

[13] 冬の窓辺
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窓の結露を

人差し指でこすれば

窓辺の景色は

思い出のように滲み

せんなきことばかり

心に映る。

雪の夜、足跡、コートの背中…。

それから幾つの冬を

重ねたことだろう。

窓の結露を

人差し指でこすれば

滴がひとすじ。

せんなき涙のように

心に流る。

2012/02/09 (Thu)

[12] わたぼうしのやまぼうし
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春を待つやまぼうしに

またも

空から白いお客さま。

次から次にやってきて

やまぼうしはわたぼうし。

けれど

枝のかしこで芽は吹いて

やまぼうしはいっすんぼうし。

すると

空がパッと晴れ

やまぼうしはかげぼうし。

五月の空に

雪のように白い花を

咲かせるやまぼうしよ。

春を待つやまぼうしの

春を待つ。

2012/02/08 (Wed)

[11] 「おかえりなさい」
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夕暮れの道を歩く。

歩きながら

一歩また一歩と

自分にかえっていく。

さあ、あなたの家に

「おかえりなさい」。

たどり着くまでに

なにかもかえして。

さあ、わたしの家に

「おかえりなさい」。

一日の終わりには

たとえわずかな時間でも。

「おかえりなさい」。

自らの家に。



2012/02/07 (Tue)
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