詩人:中村真生子 | [投票][得票][編集] |
山桜の落ち葉を突き破って
芽を出しのは
スノードロップか。
◆
楽園を追われた
アダムとイブの苦しみに
追い打ちをかけたのは
降りしきる冷たい雪。
震えながら泣き悲しむイブに
天使は語りかける。
「いつまでも冬は続かない。
いつか春がやってくるよ」と。
そして天使が雪に触ると
白い可憐な花になったという。
二人の暗い絶望を
明るい希望に変えた花、スノードロップ。
◆
また降り出したボタン雪。
けれど、庭のかしこで春の息吹。
「いつまでも冬は続かない。
もうすぐ春がやってくるよ」と。