「愛しているよ」と花は咲き大地に、空に、風に、雨に佇むものの心にありったけの笑顔で物語を紡ぎ始める。時に饒舌に時に控えめに…。その紡がれた物語を私たちは季節と呼ぶ。そして「ありがとう」と花は散り大地に、空に、風に、雨に佇むものの心にありったけの気持ちで物語を刻む。時に賑やかに時にひっそりと…。その刻まれた物語を私たちは四季と呼ぶ。野イバラはいよいよ白く傍らには咲き始めた紫露草。心の大地には夕暮れの園の満開の桜。
[前頁] [中村真生子の部屋] [次頁]