詩人:中村真生子 | [投票][編集] |
天を追放されたスサノオが降り立った
船通山に日南町側から登る。
途中に杖が用意されており
突きながら登ると
くくりつけられている木札が
カラカラと山に響み渡る。
カタクリの花は終わっていたが
青紅葉やミズナラ、ブナの若葉が
幾重にも重なって緑の天井を作っていた。
その緑の天井へ向かって
地の底から歩みを重ねる。
次第に頭上が明るくなり
ついに緑の天井の上に出る。
見渡せば
山々が幾重にも連なり
いつもと異なる風景の中で
石の小さな鳥居をくぐって
お社にお参りをする。
『古事記』では
スサノオはここから奥出雲へと向かう。
そして八岐大蛇の物語へと続いていく。