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中村真生子の部屋


[15] tatoe
詩人:中村真生子 [投票][得票][編集]

いちばん最初に冬が来て

いちばん最後まで冬が留まっている

右手よ。

左手よりも心臓から遠く

それゆえ

ポケットで温まる暇もなく

仕事を請け負っているのか。

右側を使うことで

心臓が傷つくリスクを減らし

また動かすことで

血液を受け取るために。

いちばん寒い思いをしながら

いちばんよく働いている

右手よ。

あなたが温まったときに

春が来る。

それまでは言わまい、

春が来たと。

たとえ花が地を埋め尽くしても…

たとえ高みから鳥が歌っても…。

2012/02/12 (Sun)

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