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中村真生子の部屋


[218] 椅子
詩人:中村真生子 [投票][編集]


食卓で使っている椅子の

きしみや座板の浮きが気になっていた。

その椅子が今朝

「もう限界だよ〜」とつぶやいた気がした。

慌てて知り合いの

家具作家さんにきてもらう。

この椅子と

暮らし始めたのは30年ほど前。

中古品だったので

それより年はいっている。

以来、毎日のように使っていた椅子。

塗装も半ばはげ落ちている。

けれど

「塗装だけ新しくしないほうが

いいですよ」と作家さん。

そうだね

一緒に年を取ってきた証なのだから…。

悲しい心も苦しい心も

厭わず支えてくれた証なのだから…。

椅子は山の工房へと運ばれた。


2012/09/08 (Sat)

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