詩人:中村真生子 | [投票][編集] |
食卓で使っている椅子の
きしみや座板の浮きが気になっていた。
その椅子が今朝
「もう限界だよ〜」とつぶやいた気がした。
慌てて知り合いの
家具作家さんにきてもらう。
この椅子と
暮らし始めたのは30年ほど前。
中古品だったので
それより年はいっている。
以来、毎日のように使っていた椅子。
塗装も半ばはげ落ちている。
けれど
「塗装だけ新しくしないほうが
いいですよ」と作家さん。
そうだね
一緒に年を取ってきた証なのだから…。
悲しい心も苦しい心も
厭わず支えてくれた証なのだから…。
椅子は山の工房へと運ばれた。