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中村真生子の部屋


[271] 祈りの山(田和山遺跡)
詩人:中村真生子 [投票][編集]


中国山地の山々を仰ぎ

宍道湖や平野を見下ろす山の頂に

「田の字」と「一の字」の柱の跡あり。

「田の字」には9本

「一の字」には5本の穴。

東側に並ぶ

「一の字」の5本の柱穴に

北から南へ、南から北へと歩む

日の出の往来を思い出す。

両端は夏至と冬至

真ん中は春分と秋分

その間は

立夏と立秋、立春と立冬か。

弥生の人々は

ここで祈りを捧げたのか。

山々に神や祖先を感じ

水田を眺めながら

太陽に日々の暮らしを託して…。

三つの環濠を越えて

頂に登れば

周りには今も変わらず

人々の崇めた山があり

平野には人々の暮らしがあり

空からは陽の光が降り注ぐ…。



2012/11/02 (Fri)

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