ホーム > 詩人の部屋 > 中村真生子の部屋 > 神の記憶(西谷墳墓群)

中村真生子の部屋


[272] 神の記憶(西谷墳墓群)
詩人:中村真生子 [投票][編集]

斐伊川にほど近い

西谷の丘陵地帯で見つかった

四隅突出型墳丘墓。

国内最大の5つのうち

4つまでもがここに存在する。

造られたのは

弥生時代の終わりの3世紀。

広げた手足のように

四方に伸びた突出部は

上で葬送儀礼をするための

アプローチではないとされている。

そして上部には4本の柱と

中央に心臓のような赤い玉。

壺や高坏などたくさんの土器を並べ

彼らはここで

どんな儀礼をおこなったのか。

古人は死者の魂は神となり

山に宿ると信じていたという。

平野と山の間の

古人の神への想いが眠る丘。

覚めやらぬ夢のように

今もその記憶が息づいている。


西谷墳墓群/島根県出雲市大津町

2012/11/03 (Sat)

前頁] [中村真生子の部屋] [次頁

- 詩人の部屋 -