白い夕べに赤い和ろうそく1本。真っ直ぐ伸びる炎とその周りのみかん色のきらめき。手をかざすとほんのり温かく…。その呼吸のごとききらめきとともに闇は深まりゆく…。窓の外薄暮の中にふうせんかずら。白い花と緑のふうせんもうすっかり茶色になったふうせん。震えるように秋風に揺れ…。その鼓動のごとく揺れとともに秋は深まりゆく…。
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