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中村真生子の部屋


[275] 終(つい)の形(加茂岩倉遺跡)
詩人:中村真生子 [投票][編集]

慌てて隠されたのか

放棄されたのか

山中に

無造作に埋められていた

加茂岩倉の39個の銅鐸。

再現された土中の様子に

想起されるのは一つの終焉。

森の緑と

木漏れ日の輝きのごとき

青銅器を放ち

土の色をした鉄器を手に

大地を耕す生活の始まり。

かくして人は森を出て

今へと続く暮らしを始めた。

鎮守の森に

在りし日の想いを重ねながら…。

終わりなきもの初めなし。

季節は巡り、人も巡る。

いつの時代も

大きなものに導かれながら…。


加茂岩倉遺跡:島根県雲南市加茂町岩倉

2012/11/06 (Tue)

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