詩人:中村真生子 | [投票][編集] |
ピアノやヴァイオリンなどの音を聴きながら
音符はいつも思っていた。
自分も音のように
軽やかに空(くう)を舞いたいと。
そこで音符は神様にお願いした。
「私は生まれてこの方
紙にはり付けられたまま
どこへも行くことができません。
どうぞ私も音のように
空を舞えるようにしてください」と。
音符の切なる願いに
神様はそれもよかろうと
音符に灰色の羽をつけてやった。
すると音符は
ゆらゆらと楽譜から飛び立った。
それが全音符だったので
白い体に灰色の羽の鳥になり
その鳥を
人々はカモメと呼んだ。
だからカモメは
ゆらゆらと舞うように空を飛ぶ。
まるで昔暮らした五線譜を懐かしむように…。