詩人:きよたか | [投票][得票][編集] |
もうすっかり寒いのです。
君と歩いた道にあったコスモスも、もう刈り取られてしまいましたが
周りと色の違う土が、確かにそこが"そう"であったと、ものがたるのです。
はじまりは確か
君の言葉でした。
視界一面に広がるコスモス畑が見たい。と
結局、その計画は実行されずに
帰り道に咲いていた、少しだけのコスモスを見つけて
これじゃダメなの?と言った僕に
君は不満げな納得をくれました。
もうすっかり寒いのです。
去年の冬に君がくれたマフラーをして、いま僕は暖をとっているのです。
もう、ところどころがほつれてしまっているのですが、そこがまた良いのです。
もうすっかり寒いのです。
きっと君が見たかったコスモス畑は
もうすっかり、跡形もないのでしょう。
来年こそと言った、僕の言葉の意味も、もう
すっかり跡形も、ないのでしょう。
はじまりはきっと
君の言葉でした。
なのに、君以外の誰が
おわりに出来るのでしょう。
もうすっかり
寒いのです。